【三里河中国経済観察】海南省発展改革委主任の綦樹利氏、「五つの方向」で成長基盤を強化
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【1月1日 CNS】中国の高水準な対外開放を象徴する施策として、海南自由貿易港は12月18日、全島封関を正式に開始し、世界的な注目を集めた。
海南自由貿易港という制度の下で、海南省(Hainan)は今後、どのように地域特性を生かして経済発展を進めるのか。海南省発展改革委員会の綦樹利(Qi Shuli)主任はこのほど「三里河中国経済観察」のインタビューに応じ、「第15次五か年計画期間中、海南は、主導産業や重点産業、将来産業などを段階的に配置した『45432』と呼ばれる現代産業体系の構築を軸に、『五つの方向で力を強化する』方針を掲げ、新たな生産力を育てる重要な実践拠点を目指す」と語った。
海南は中国最大の経済特区であり、独特の地理条件と良好な生態環境を併せ持つ。中国式自由貿易港として、また重要な対外開放の玄関口として、観光業、現代サービス業、ハイテク産業、熱帯特色型高効率農業の四大基幹産業が連動し、経済の高品質な発展を支えている。
「五つの方向で力を強化する」という発展戦略は、海南が自らの資源条件を踏まえて産業を高度化すると同時に、国家戦略に深く組み込み、自由貿易港の制度的優位性を最大限に生かしながら、新たな生産力を育成するための重要な布石だ。
◾️種子・種業の分野で力を強化
綦氏は、「種子の分野で力を強化する」取り組みとして、「種源+種業+種子市場」を一体化した南繁産業を拡大・高度化し、「南繁シリコンバレー」の形成を進めると説明した。
南繁とは、中国南部、特に海南島の恵まれた日照と気候条件を活用し、育種材料を繁殖・世代更新することで、農作物新品種の育成期間を大幅に短縮する手法で、中国の種業振興における重要な工程だ。現在、海南では総面積26万8000ムー(約179平方キロ)の研究・育種保護区が指定されている。
緑豊かな育種基地に加え、産学研のイノベーション主体も海南に集まりつつある。崖州湾科技城には国内有数の研究機関や大学が進出し、熱帯作物バイオ育種の国家重点実験室や国家級種業知的財産運営センターの整備が進む。南繁関連企業は2800社を超え、年間産業規模は180億元を突破し、中核企業の集積効果が顕在化している。
◾️海洋分野で力を強化
広大な海域と深海資源を背景に、海南では深海油ガス、洋上風力、遠洋養殖といった海洋産業が加速的に発展している。今年第3四半期までに、海洋経済が省内GDPに占める比率は35.5%に達した。
「海洋分野で力を強化することで、海南は国際的な深海科学技術イノベーションと産業発展の中核拠点を目指し、『海の上の海南』をもう一つ築き上げたい」と綦氏は語る。
計画では、2035年までに海南の海洋生産総額を1兆元(約22兆1075億円)超へ引き上げ、海洋経済が省全体の経済規模の半分以上を占める体制を構築し、海南ならではの海洋経済の高品質発展モデルを確立する。
このため、深海科学技術、現代海洋産業、国際海洋協力、海洋生態系保護の底線堅持といった多方面から施策を統合的に進め、成長の潜在力を引き出していく。
◾️宇宙分野で力を強化
「海に向かう」のが深さの資源を掘り起こす取り組みだとすれば、「宇宙に向かう」は海南の低緯度という地理的優位性を生かした戦略だ。ここでは中国初の商業宇宙発射場が初打ち上げに成功し、衛星スーパーファクトリーや宇宙関連データ・応用プロジェクトの整備が進んでいる。
海南は「ロケット・チェーン」「衛星・チェーン」「データ・チェーン」を軸に、文昌国際宇宙城の三つの産業機能区を整備し、ロケットや衛星の研究開発・製造分野の中核企業を誘致し、上下流企業の集積を促している。
同時に、「宇宙+」の新たな業態にも注力し、宇宙科学を生かした観光・教育、宇宙育種、宇宙創薬といった分野を開拓するとともに、低空経済の発展も着実に進めている。
◾️グリーン分野で力を強化
生態環境は海南最大の強みの一つだ。2018年、海南は「三区一中心」という戦略的役割を与えられ、その一つが国家生態文明試験区の建設である。データによると、2024年には省内のクリーンエネルギー設備容量比率が83.6%に達し、「カーボンニュートラル融資」や「グリーン電力・グリーン証書」などの仕組みにより、約200万トンの炭素排出削減が実現した。
生態資源を資産として管理するデジタルプラットフォームを活用した金融イノベーションや、海洋牧場における生態と産業の融合など、「環境価値を経済価値に転換する」取り組みが海南各地で進んでいる。全域でのプラスチック使用禁止制度や、博鰲鎮のゼロカーボン実証区の運営モデルなど、全国に展開可能なグリーン施策も次々と生み出されている。
◾️デジタル分野で力を強化
海南は、デジタル産業の育成と産業のデジタル化を両輪に、既存産業の高度化とデジタル経済の新業態創出を進めている。2024年時点で、省内のデジタル経済中核産業に属する規模以上企業は400社を超え、売上高は約2000億元(約4兆4750億円)に達した。
綦氏は、今後はグリーン計算資源とデータ越境流通に関する政策優位性を生かし、東南アジア向けの越境計算拠点を整備し、デジタル経済の産業クラスターを形成していく考えを示した。
海南自由貿易港の全島封関は、高水準の対外開放を進める中で産業体系により高い要求を突き付ける一方、海南の発展に広大な余地をもたらす。制度面での開放と産業高度化が相互に作用し合う好循環の中で、海南ならではの強みを備えた現代産業体系は、今後さらに加速して成長していく見通しだ。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News