郷鎮バスケットボール大会が高原の小さな県を熱くする・中国
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【12月31日 People’s Daily】夕暮れ時、青海省(Qinghai)海東市(Haidong)循化サラール族自治県(Xunhua Salar Autonomous County)チャハンドス郷の広場で、郷鎮対抗のバスケットボール親善試合が行われていた。人垣が三重にも四重にもなり、歓声があちこちで絶え間なく響いていた。
コート上では、選手の韓衛明(Han Weiming)さんが高くジャンプし、バックボードリバウンドを奪った。方向転換、ドリブルで相手をかわし、数秒のうちに彼は相手のゴール下まで駆け寄り、身を躍らせてボールをしっかりとバスケットに沈めた。
試合はホスト側のチャハンドスチームが最終的に勝利した。韓さんはチャハンドスのバスケットボール界の「有名人」で、傑出したテクニックだけでなく、練習を組織することにも長けている。練習でも試合でも、彼はいつも一番に到着し、最後に帰る。韓さんのリードのおかげで、チャハンドス郷のバスケットボールチームは長年にわたり、県内有数の強豪チームの地位を維持している。
人口20万人に満たない高原の小さな県でありながら、循化県のバスケットボールは非常に厚い大衆的基盤を持つ。1950年代、農閑期の楽しみとしてバスケットボールが始まり、80年代にはすっかり定着した。
今では一年を通して大会やイベントがあり、各村々で「草の根」バスケットボール試合が繰り広げられ、村の老若男女が会場に駆けつけて声援を送る。ある村民は記者に「家族が出場すると、一家中でとても興奮する」と話している。
今年5月、循化県郷鎮男子バスケットボール大会「郷BA」の決勝戦の時には、県内のホテルは満室となり、試合会場の観客席は1つも空きがない状態だった。場外の大型スクリーンで生中継される試合の映像を、人びとは食い入るように見つめ、知り合いも見知らぬ人も一緒になって、歓声を上げ、声援を送った。
現地観戦に加え、今大会の「郷BA」では9つのライブ配信チャネルが設けられ、オンライン同時視聴者数はピーク時3万人を超え、オンライン累計視聴者数は延べ10万人を突破した。
循化県文化体育観光局の沈涛(Shen Tao)副局長は「決勝の週になると、試合観戦は県民全体の重要な行事となる。5000人収容のバスケットボールアリーナは満員で、人びとは具入りの饅頭を手に、水筒を持って入場し、一瞬たりとも見逃すまいと熱心に観戦している」と話す。
循化県の「郷BA」は決勝戦の期間だけが盛り上がるわけではない。毎年冬に始まるトーナメントも非常に見応えがある。500試合を超える村レベルの大会と300試合を超える郷鎮レベルの大会が次々と開催され、厳しい予選を勝ち抜いた実力のあるチームだけが県レベルの大会に出場できる。
循化県の韓明福(Han Mingfu)県長の話によれば、現在県内には男女のアマチュアバスケットボールチームが100以上あり、9つの郷鎮154の村全てにバスケットボールコートが整備されている。
循化では、バスケットボールは単なるスポーツではなく、一つの文化でもある。県内の小中学校ではバスケットボールクラブの人気が最も高い。多くのクラブでは、専門的なバスケットボールのトレーニングや指導を提供するだけでなく、生徒たちのチームワーク能力と身体能力の向上にも力を入れている。
循化県大衆体育指導サービスセンターの陝海雲主任によれば、県下の学校には男女のバスケットボールチームがあり、小学校では学年別のチームも編成されているという。
「週末は山に遊びに行こうよ」、チベット族の青年でやはり循化県代表チームメンバーのツァシさんは暇な時に韓衛明さんを誘ってよく一緒に出かける。
「県代表チームには様々な民族の選手がいて、『郷BA』の時には俺たちはライバルだけれど、対外試合に出る時はチームメイトだ。今じゃ俺がチベット語を話しても、彼はだいたい理解できるよ」、ツァシさんはこう語った。頻繁に一緒に練習や試合をするうちに、彼と韓さんは親友になったのだ。
循化県にはサラール族、チベット族、回族、漢族など多くの民族が住んでおり、そのうちサラール族は総人口の6割以上を占める。異なる民族の住民がバスケットボールを通じて知り合い、集い、共に汗を流し、肩を並べて試合することで、身体を鍛えるだけでなく、民族間や地域住民同士の関係もより和やかになっている。
かつて、2つの村が水源問題を巡って対立したことがあった。県や郷が何度も調停したが、両村の村民の心の中には依然としてわだかまりがあった。そこで誰かが「2つの村にバスケットボールの試合をさせてみたら?」と提案した。当初このアイデアはあまり期待されていなかったが、予想に反してその効果は驚くほど良かった。数回の親善試合の後、両村の選手たちは「親友」となり、何世代にもわたる悩みの種だった対立は、ついに解消されたのだ。
コート上では選手たちが熱戦を繰り広げる一方、コート外でも次々と見所があった。今年の「郷BA」決勝戦の開催時期は、ちょうど県が組織する文化観光イベントの開幕のタイミングと重なり、循化県の各民族の無形文化遺産が、「郷BA」大会というプラットフォームを通じて、より多くの人びとの目に触れることになった。
循化県委員会の曹良泰(Cao Liangtai)書記は「試合の合間に、大スクリーンやモバイル端末で循化の美しい景色やグルメを紹介し、多くの観光客を呼び込むことができた」と語った。
今年、県内の村、郷、県の3つのレベルのバスケットボール大会は、合計200試合開催され、累計観客動員数は延べ30万人、ネット視聴者数は延べ120万人に達し、観光総収入は8200万元(約17億9826万円)となった。(c)People’s Daily /AFPBB News