トランプ政権、白人男性は差別されていると主張 損害賠償訴訟を呼び掛け
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【12月19日 AFP】米国のドナルド・トランプ政権は、多様性・公平性・包括性(DEI)プログラムを棚上げにする試みの一環として、白人男性に対し、職場で人種または性別に基づく差別を受けたとして損害賠償訴訟を起こすよう奨励している。
雇用機会均等委員会(EEOC)のアンドレア・ルーカス委員長代理は今週、X(旧ツイッター)に「あなたは職場で人種または性別に基づく差別を受けた白人男性ですか?」「そうならば連邦公民権法に基づき、損害賠償請求権がある可能性があります」と投稿。
「EEOCは、あらゆる人種および性別による差別を特定し、攻撃し、排除することに尽力しています。こうした差別には、白人男性の従業員や求職者に対するものも含まれます」と付け加えた。
EEOCは、職場における性差別と人種差別に対処するため、1964年公民権法に基づいて設立された連邦機関だ。同法は、アフリカ系米国人に対する人種差別対策を目的としていた。
だが、トランプ氏は1月にホワイトハウスに戻って以来、DEIプログラムは米国の多数派である白人を損害するものだと主張し、連邦政府におけるDEIプログラムを解体するとともに、実施する企業に警告を発している。
EEOCは現在、公式サイトで「DEI関連の差別」を強調しており、トランプ氏は過去の政権下で実施された積極的差別是正措置(アファーマティブ・アクション)を撤回している。
差別を受けた少数派を支援するために創設されたDEIプログラムの多くは現在、米国の保守派から「ウォーク(目覚めている、の意。社会問題や人種差別、性差別などへの意識が高いことを示す)」とレッテルを貼られ、容認できないものとされている。
ルーカス氏の下、EEOCはいわゆる米国人労働者に対する差別にも取り組んでいる。
ルーカス氏は先月の声明で、「多くの雇用主は、不法移民、移民労働者、非移民のゲストワーカー(ゲストワーカービザ保持者)を米国人労働者よりも優遇する方針を実践しており、これは連邦雇用法に直接違反している」と述べた。
■DEIは「主に白人男性に対する意図的な差別プログラム」
ルーカス氏の白人男性への呼び掛けは、J・D・バンス副大統領も共有した。
バンス氏は別の投稿は、若い白人男性であるという理由で仕事をもらえなかったと主張するハリウッドの脚本家によるコラムを紹介。
コラムへのリンクの上に、DEIという概念は「主に白人男性に対する意図的な差別プログラムだ」と記した。
これに対しルーカス氏は「全くその通りだ」「そして、まさにこの広範囲にわたる組織的かつ違法な差別が主に白人男性に害を及ぼしていたからこそ、エリート層はただ見て見ぬふりをするどころか、それを祝福したのだ」と応じた。
マサチューセッツ大学アマースト校の調査によると、EEOCに苦情を申し立てるアフリカ系米国人従業員の割合は、白人従業員の195倍に上る。
そしてピュー・リサーチ・センターによると、昨年、女性の平均収入は男性の85%だった。(c)AFP