【12月12日 AFP】メキシコのクラウディア・シェインバウム大統領は11日、中国などの自由貿易協定(FTA)を結んでいない国からの輸入関税を最大50%に引き上げる法案について、メキシコ経済の強化を目的としたものだと正当化した。

メキシコ議会は10日、自動車、繊維、衣料、プラスチック、家電製品などの輸入品に対する関税を引き上げる法案を可決。

この措置は主に中国製品に影響を及ぼすため、中国政府は猛反発した。

中国商務省の報道官は10日、この措置は「中国を含む関係貿易相手国の利益を著しく損なう」「中国は、メキシコが一方的政策と保護主義という誤った慣行を速やかに是正することを期待する」と述べた。

商務省はまた、中国が9月にメキシコに対して開始した貿易障壁調査が進行中であることに言及し、報復の可能性を示唆した。

シェインバウム大統領が主導する関税引き上げは、韓国、インド、インドネシア、ロシア、タイ、トルコ、台湾、ブラジルにも影響を及ぼす。

法案はシェインバウム大統領の署名によって成立し、2026年1月1日に発効する予定。関税率については一部品目は50%だが、大半の品目は20~35%となっている。

シェインバウム大統領は11日、この措置は米国に大きく依存するメキシコ経済の強化のみを目的としていると強調。

「われわれの利益は世界のどの国とも対立を引き起こすことではない。われわれは中国を深く尊敬し、良好な関係を築いている」「今回の法的調整の目的は、メキシコ経済の強化だ」と述べた。

ドナルド・トランプ米大統領は、中国の製造業者がメキシコ経由で米国に製品を送り込むことで関税を回避していると非難しており、シェインバウム大統領による今回の関税引き上げはトランプ大統領への屈服だとの見解もある。

中国政府は以前、中国に輸出制限を課すいかなる「強制」にも反対すると述べており、11日の声明でもメキシコに対し「慎重に行動する」よう求めた。(c)AFP