トランプ氏へのFIFA平和賞は政治的中立義務違反、人権団体が苦情
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【12月10日 AFP】国際サッカー連盟(FIFA)が新たに創設した「FIFA平和賞」をドナルド・トランプ米大統領に授与したことをめぐり、人権団体フェアスクエアが8日、FIFAの倫理委員会に苦情を申し立てた。FIFAのジャンニ・インファンティーノ会長がトランプ氏を支持したことで政治的中立義務に違反したと主張している。
インファンティーノ氏は米首都ワシントンで6日に行われた2026年ワールドカップ(W杯)北中米3カ国大会の組み合わせ抽選会で、トランプ氏にFIFA平和賞を授与した。
フェアスクエアは苦情申し立ての中で、FIFAの統治構造を「不合理」だと非難し、FIFAの行動は世界のサッカーコミュニティーの共通の利益に反すると主張した。
フェアスクエアのプログラムディレクター、ニコラス・マクギーハン氏は、「この苦情申し立ては、インファンティーノ氏がドナルド・トランプ大統領の政策を支持していることだけにとどまらない」と主張。
「より広い意味では、これはFIFAの不合理な統治構造が、ジャンニ・インファンティーノ氏がFIFAの規則を公然と無視し、危険で、世界で最も人気のあるスポーツの利益に直接反する行動をとることをいかに許してきたかに関するものだ」と付け加えた。
フェアスクエアは、現職の政治家に平和賞を授与することは、それ自体がFIFA倫理規定第15条の明確な違反だと主張。
FIFA倫理委員会に対し、「FIFA平和賞の創設に至るプロセス」と、トランプ氏を受賞者に決定したことへのへのインファンティーノ氏の関与についても調査するよう要請した。
フェアスクエアはさらに、インファンティーノ氏が10月、トランプ氏にノーベル平和賞を授与するよう訴えていた点、他にも3回にわたってトランプ氏の政策に好意的な発言をしていた点を強調している。
AFPの取材に対しFIFAは、苦情申し立てを受けたことは認めたが、それ以上のコメントは控えた。(c)AFP