【12月11日 CNS】東南アジア諸国連合(ASEAN)が初めて欧州連合(EU)を上回り、浙江省(Zhejiang)の最大貿易相手国となった。

浙江省は住民1人当たりの可処分所得が長年全国トップで、民営企業も非常に活発だ。全国工商連の「中国民営企業500強」での浙江企業のランクイン数は、27年間連続で全国1位となっている。

浙江省・温州港七里港区では、輸出入貨物のコンテナが整然と積み込み作業を進めている。浙江省の対外貿易における最大の相手国は、すでに入れ替わった。近年この動きは徐々に進んでおり、今年ついに現実として表れた。

今年1~10月、浙江のASEAN向け輸出入額は7106.1億元(約15兆5819億円)で、前年同期比16.2%増。一方、EU向けは7029.4億元(約15兆4137億円)、増加率は7.5%にとどまる。両者の総額差は76.7億元(約1681億8469万円)と小さいが、伸び率には明確な差がついた。浙江全体の対外貿易を見渡すと、今年1〜10月の輸出入総額は4.60兆元(約100兆8669億円)で、5.3%増(全国平均より1.7ポイント高い)。中でもASEANとの貿易は際立って高い伸びを示している。

この変化の背景には複数の要因がある。世界的なサプライチェーン再編が進む中、地域包括的経済連携協定(RCEP)の発効により協力機会が増加したことが、浙江とASEANの貿易を後押ししている。ASEANは世界有数の製造拠点かつ巨大市場であり、浙江との産業補完性はますます高まっている。特にデジタル経済やグリーンエネルギーなど新産業分野では、協力の余地が非常に大きい。

データを見ると、新しい貿易の原動力が浮かび上がる。例えば今年1〜10月、浙江からASEANへの電動乗用車の輸出は195%増、リチウムイオン電池は67.2%増と大幅に伸びた。長期的に見ても、浙江の製造業と東南アジアとの分業体系は年々深化してきた。2015年の「中国—ASEAN自由貿易区2.0」発効以降、浙江とASEANの貿易額は年平均15.5%成長している。

浙江の対ASEAN輸出は、10年前の労働集約型製品中心から、現在は機電製品や新エネルギー車など高付加価値品が成長の柱となっている。一方、浙江がASEANから輸入する製品も、原材料だけでなく、良質な農産品や工業製品へと広がっている。最大貿易相手国の交代を支えているのは、浙江の産業構造の高度化だ。外貿のエンジンは、繊維や雑貨といった伝統業種から、「新三様」(電動車、リチウム電池、太陽光関連)へとシフトしている。今年1~10月、機電製品の輸出は1.63兆元(約35兆7419億円)で8.4%増、「新三様」の輸出は1078億元(約2兆3637億円)で20.2%増と急伸し、省全体の輸出増加に大きく寄与した。

ASEANは約7億人の巨大市場で、いままさに消費の高度化が進む時期にある。特に自動車分野では各国がEV補助金や税制優遇を実施しており、浙江の新エネルギー車メーカーにとって大きな商機となっている。、吉利汽車(Geely Automobile)や零跑汽車(Leapmotor)などの浙江企業は、国内で蓄積した技術と生産能力をASEAN市場で競争力へと転換しつつある。完成車輸出から現地生産、製品貿易から技術提携まで、浙江とASEANの自動車産業チェーンは前例のない速度で統合が進んでいる。

こうした変化を主導する最大の力は、浙江の巨大な民営企業群である。2025年前三四半期、浙江で実績のある外貿企業は12万社を突破し、そのうち11.2万社が民営企業だった。民営企業の輸出入額は全体の82%を占め、特に輸出では9.4%増と最も高い伸びを示し、総輸出増加の96.6%を民営企業が支えた。ASEANが浙江の最大貿易相手国になったことは、中国の対外開放の構図が変化していることの象徴でもある。世界的には、成熟経済の需要が鈍る一方、新興市場が強い活力を見せている。

浙江製のリチウム電池がインドネシア製EVに搭載され、杭州市(Hangzhou)のデジタルソリューションがシンガポールのスマートシティで活用される──こうした現象は、新しいタイプのグローバル化の姿を示している。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News