【11月23日 CNS】中国の「第15次五か年計画(十五五)」計画(2026〜2030年)に掲げる12の戦略任務の中で、「ハイレベルな対外開放の拡大」はこれまでよりも高い優先度に引き上げられた。中国が「開放」を強調するのは今回が初めてではない。しかし、地政学リスクの高まりや、保護主義・一国主義の台頭が進む現在、「開放」という言葉は従来とは異なる重みを持つようになっている。

「対外開放の優先順位引き上げは、中国国内の発展需要と国際情勢の変化が同時に作用した結果であり、中国が変動の中で主体的に選び取った判断だ」。中国国際経済交流センター美欧研究部の張茉楠(Zhang Monan)副部長は「三里河中国経済観察」にそう語った。張茉楠氏は、中国はすでに改革の深水域に入り、高品質発展の重要局面を迎えているため、世界市場とのつながりを通じて発展の機会を共有する必要性が一層高まっていると指摘する。

対外開放は、まず中国自身の発展のためでもある。

商務部の王文涛(Wang Wentao)部長は党中央の記者会見で、「開放は改革を進め、発展を促す重要な手段だ」と述べ、経済要素の流動を妨げる「国境上」と「国境後」の壁を取り除き、制度型開放を着実に拡大すると強調した。2024年、中国の貨物貿易額は6.16兆ドル(約969兆9536億円)に達し、8年連続で世界1位。サービス貿易も1兆ドルを突破し、世界2位となった。ハイレベルな開放は、中国経済の力強い成長エンジンになっている。

そして、開放のあり方は構造的に変化している。

かつて「開放」といえば主に参入障壁の撤廃を指したが、今では「ルールづくり」へと重点が移っている。張茉楠氏は、中国が世界とつながる際の重心は「モノの輸出」から「技術による価値提供」へ移りつつあると指摘する。追随から先導へ転じるには、技術力や産業力を標準やルールへと転化できるかどうかが鍵となる。AI、量子計算、先進製造、生物医薬などの分野で中国は世界の先頭集団に位置し、自らのイノベーション能力を通じて新興産業の発展を後押ししている。

今後5年間、中国は貿易強国を支える「貨物貿易・サービス貿易・デジタル貿易」の3本柱を全面的に強化する計画だ。特にサービス貿易とデジタル貿易といった新分野は、ハイレベル開放の新たな主戦場になりつつある。AIやデジタル技術によって、従来の貿易構造や資源配置のあり方が変化し、開放により大きな確実性と強靱性が生まれている。

同時に、中国の開放戦略は特定市場への依存から脱却し始めている。ここ数年、「一帯一路(Belt and Road)」沿線国との貿易額は継続的に拡大し、地域包括的経済連携協定(RCEP)発効後は東南アジア諸国連合(ASEAN)など新興市場との貿易・投資も大きく伸びている。

張茉楠氏は次のように分析する。一部の国が「デカップリング(分断)」を唱える中で、中国はむしろ世界サプライチェーンのつなぎ目を担い、産業チェーンの安定的な発展を後押ししている。また、市場参入の壁を高める国がある一方で、中国の巨大市場は国内発展の武器であるだけでなく、世界企業にとって非常に魅力的な投資先となっている。

注目すべきは、中国共産党第二十期四中全会の公報で、「自主的開放」の前に「積極的」という言葉が加えられたことだ。これは対外開放をより主体的に進める姿勢を示している。世界貿易機関(WTO)加盟当初の「義務としての開放」から、より高い段階の開放へと進もうとしている。この変化は多くの外資企業に伝わり、彼らの動きにも影響している。2021年から2025年5月までの外資の対中直接投資は4.7兆元(約103兆9705億円)に達し、「第13次五か年計画(十三五)」期間の総額を上回った。「中国への投資は選択肢ではなく必然だ」とする声も生まれている。

フランスのスポーツ用品大手デカトロン(Decathlon)の中国責任者は、「四中全会が『開放』を強調したことで、多国籍企業が中国市場を深耕する自信がさらに高まった」と語った。フランスの工業系ソフト大手・ダッソー・システムズ(Dessault Systemes)大中華区の張鷹(Zhang Ying)総裁は、「開放拡大と技術革新を推進する中国は、外資企業に前例のない新たな機会を提供している」と述べた。ドイツの産業用バルブ・ポンプメーカー・KSB AG北アジア地域CEOの賀钧(He Jun)氏は、中国がグリーン転換とイノベーション主導の成長を加速させることで、外資企業に明確な政策方向性と広大な市場機会を生み出していると話す。

中国のハイレベル開放は、自国経済の推進力となるだけでなく、国際的な連結性においても安定の支点として機能している。中国の開放の扉は、単に「大きく開く」だけではない。実効性のある互恵的なルールを築くことで、世界により広い市場と投資機会を提供し、国際的な発展に新たな力を注ぎ込んでいる。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News