【12月5日 AFP】ドイツのニュース週刊誌「シュピーゲル」は4日、欧州首脳らが今週行われた電話会議で、ウクライナ紛争終結に向けた米国の和平仲介に不信感を表明したと報じた。

同誌は電話会議の議事録の全文ではなくメモを入手したとしているが、筆者は明らかにしていない。

会議の参加者2人が、メモが会話の内容を正確に反映していることを確認したとされるが、会議は機密扱いであるため一字一句確認することはしていない。

シュピーゲルによれば、ドイツのフリードリヒ・メルツ首相とフランスのエマニュエル・マクロン大統領は1日、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領らと行った電話会議で、米国の交渉担当者がウクライナの利益を守るかどうかについて懐疑的な見方を示した。

マクロン氏は電話会議で「安全の保証を明確にしないまま、米国は領土問題でウクライナを裏切る可能性がある」と述べたとされる。

エリゼ宮(フランス大統領府)の情報筋はAFPに対し、報じられた発言はフランス大統領府の議事録と一致しないと述べた。

「(マクロン)大統領はロシアと米国の間で進行中の交渉について、旗幟(きし)を鮮明にしている。それは非公式な場でも同様だ」と付け加えた。

シュピーゲルによると、メルツ氏はゼレンスキー氏に対し「今後数日間は特に注意する」よう警告し、「彼らはあなたとわれわれの両方をいいようにもてあそんでいる」と付け加えた。

ドイツ首相府はAFPに対し、「個々の報道についてはコメントできない。さらに言えば、原則として機密の会話については報道できない」と述べた。

ゼレンスキー氏の広報担当顧問、ドミトロ・リトビン氏はシュピーゲルの報道に関するAFPの取材に対し、「挑発行為についてはコメントしない」と答えた。

■ゼレンスキー氏を「守れ」

シュピーゲルによると、フィンランドのアレクサンデル・ストゥブ大統領は、今週ロシア大統領府(クレムリン)訪問して協議を行ったスティーブ・ウィトコフ米特使とドナルド・トランプ米大統領の娘婿ジャレッド・クシュナー氏に対する不信感を表明。

「ウクライナとウォロディミルだけで、これらの人物たちと向き合わせてはならない」と述べたとされる。

フィンランド大統領府はAFPの取材に対し、「大統領による機密協議についてはコメントしない」と述べた。

シュピーゲルによると、北大西洋条約機構(NATO)のマルク・ルッテ事務総長は電話会議で「ウォロディミルを守らなければならない」と述べたされる。

NATO当局者は、「原則として、リーク情報にはコメントしない。ウクライナ戦争終結に向けた継続的な取り組みに関する事務総長の立場については、トランプ大統領とそのチームが主導する試みを強く支持してきた」と述べた。

米政府は先月、ウクライナ紛争終結に向けて28項目の和平案を提示したが、ウクライナを支援する欧州諸国の意見を反映しておらず、ウクライナ領土に対するロシアの強硬な要求をあまりにも忠実に反映していると批判された。(c)AFP