【12月4日 AFP】英政府が在英中国大使館の新設許可に関する判断を再び先送りしたことについて、中国は3日、「強い不満」を表明した。

住民、人権団体、対中強硬派は、スパイ活動や英国に逃れた香港の反体制派への嫌がらせに利用されるのではないかと懸念し、英国最大となる「メガ大使館」の建設に反対している。

判断は長年延期されており、スティーブ・リード住宅相は2日、12月10日としていた期限を1月20日に先延ばしした。

これに対し中国外務省の林剣副報道局長は記者会見で、今回の延期は「全くもって理不尽」であり、その理由は「全く受け入れられない」と述べた。

「中国は今回の延期に深く懸念しており、強い不満を表明する」と述べ、大使館建設の申請はとっくの昔に提出済みだと付け加えた。

中国政府は2018年、大使館の移転先として旧国王立造幣局の敷地を3億2700万ドル(現在のレートで約510億円)で購入したと報じられている。

英国のキア・スターマー首相の報道官は2日、「特別な安全保障上の影響」があるとして、審査にはさらに時間が必要であることを示唆した。

この判断は、中国によるスパイ疑惑や旧植民地である香港の行方をめぐり、依然として緊張状態にある中国との関係修復を目指すスターマー氏にとって、重要な課題と見られている。

スターマー氏は1日に行われたシティ・オブ・ロンドン市長主催の毎年恒例の晩さん会で、中国について、「真の国家安全保障上の脅威」であり、引き続き同国政府に対し人権問題を提起していくと述べた。

これに対し在英中国大使館は2日の声明で、「根拠なく中国を非難し、内政に干渉する英国側の発言に断固反対する」と述べた。(c)AFP