【11月19日 AFP】英国内の情報収集を担う情報局保安部(MI5)は18日、中国がヘッドハンターを装ったスパイを使って国会議員の採用を行っていると警告した。

中国のためにスパイ行為を行ったとされる容疑者2人に対する政治的にデリケートな訴訟が取り下げられたこと、そしてロンドンに物議を醸す新大使館を建設するという中国側からの要請を英政府が検討していることなどを受け、英国では中国のスパイ活動に対する懸念が高まっている。

在英中国大使館の報道官は、これらの疑惑は「完全なでっち上げで、悪意のある中傷だ」と直ちに否定し、中国は英国政府に「厳重に抗議」したと発表。

「英国側に対し、この自作自演を直ちにやめ、中英関係を損なう誤った道をこれ以上進むのをやめるよう強く求める」と述べた。

ダン・ジャービス安全保障担当相は18日下院で「MI5が本日、議会と議会職員に対し、スパイ活動に関する警告を発した」「中国の関係者によるわが国の民主的機関を標的とした継続的な攻撃について警告するためだ」と述べた。

「わが国の情報機関の警告によれば、中国は議会と英国政府に関する機密情報にアクセスできる人物の採用と育成を試みている」と述べた。

MI5の警告によると、この活動は「多くの場合、ダミー会社や外部のヘッドハンターを利用して正体を隠している中国の情報工作員」によって行われている。

MI5は、「中国情報機関のために働く正当なヘッドハンターとみられる」二つのオンラインプロフィルを公表​​。これらのアカウントはリンクトインなどのプラットフォームを通じて標的との関係構築を行っていると述べた。

ジャービス氏はまた、中国が英国の大学を標的とし、その「独立した研究」に影響を与え、キャンパスでの活動を妨害しようと試みているとも指摘。

閣僚が大学関係者と「非公開イベント」を開催し、こうしたリスクについて協議すると述べた。(c)AFP