ソマリア人、トランプ氏の「どうしようもない国」発言に反発 政府は沈黙
このニュースをシェア
【12月4日 AFP】ドナルド・トランプ米大統領がソマリア移民に対する怒りを爆発させ、ソマリアを「どうしようもない国」と呼び、ソマリア人を米国に受け入れるべきではないとの見解を示したのを受け、ソマリア人は3日、憤りと諦めが入り交じった反応を示した。
トランプ氏の怒りは、ミネソタ州で起きたスキャンダルを受けたもの。検察によると、ソマリア系米国人が架空の社会福祉事業をでっち上げ、計10億ドル(約1550億円)以上の補助金・助成金を不正受給したとされる。
トランプ氏は閣議でソマリア人を恩知らずだと非難。「(ソマリアでは)彼らは何も持っていない。走り回って殺し合っているだけだ」「彼らの国が良くないのには理由がある。彼らの国はどうしようもない。米国に彼らは必要ない」と述べた。
トランプ氏の発言に対してソマリア政府は何の反応も示しておらず、AFPのコメント要請にも応じなかった。トランプ政権下で支援が縮小しているとはいえ、防衛・人道支援の主要提供国である米国を怒らせることを懸念している可能性が高い。
だが、首都モガディシオのソマリア人たちは激怒している。
ワベリ地区の食料品店主ダウド・バレさんはAFPに対し、「トランプ大統領がソマリアとソマリア人について否定的な発言をするのは今回が初めてではないが、今回の発言は容認できない。ソマリア政府は沈黙を破り、トランプ大統領にソマリアを侮辱するのをやめるよう要求すべきだ」と語った。
23歳の大学生スマヤ・ハッサン・アリさんは、トランプ氏の発言は「失礼だ」と述べた。
「どの国にも欠点はある。米国でさえも」「米国の都市では毎年多くの人が殺されており、ソマリアで殺されるよりも多くの人が殺されることもあると私たちは知っている」と付け加えた。
アリさんはソマリアのハッサン・シェイク・モハムド大統領が本件について沈黙していると批判したが、モハムド大統領が置かれた立場の難しさに理解を示す人もいる。
大学講師のマフディ・イブラヒムさんは、「米国政府は、いわゆるテロとの戦いにおいてソマリアを支援している。ソマリア政府がトランプ氏を怒らせれば、彼は以前にもしたようにちゅうちょなく米国政府による支援を打ち切るかもしれない」と述べた。
地元NGOのヌラディン・アブディさんは、よりポジティブな見方を示した。
「トランプ氏はソマリアに対して失礼なことを言ったかもしれないが、その大半が真実だということは無視できない」「ソマリアは依然として戦争と汚職に苦しみ、ソマリア人は難民として世界中に逃れている。ソマリアに対する世界の否定的な見方を変えたいのであれば、国を変え、統治システムを改善する必要がある」と述べた。(c)AFP