ウクライナで捕虜となった北朝鮮兵、韓国亡命希望も送還交渉は難航中
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【12月03日 KOREA WAVE】ウクライナ侵攻中にロシア軍と共に戦っていたとされ、ウクライナ軍に捕らえられた北朝鮮兵2人が「韓国に亡命したい」と意思を表明したものの、韓国への送還交渉は依然として進展が見られないことが分かった。戦争終結交渉が停滞している現在、送還はさらに長期化する可能性もあると見られる。
問題の北朝鮮兵2人は昨年、ロシアによってウクライナとの前線に派遣された後、今年1月にウクライナ軍に捕らえられた。ウクライナ当局が彼らの身元や尋問映像を公開したことで国際社会にも存在が知られるようになった。
韓国のジャーナリスト、キム・ヨンミ氏が最近、キーウ近郊の捕虜収容所を訪問し、2人と直接面会。「韓国に行きたい、必ず連れて行ってほしい」と2人とも韓国への亡命を明確に希望したという。
韓国政府は、憲法上、北朝鮮住民も「大韓民国国民」と規定しているため、亡命を希望すれば受け入れるという方針を堅持している。
ただ、彼らの「法的地位」を巡っては議論がある。
当初、北朝鮮は兵士のウクライナ派兵や捕虜の存在を否定していたため、2人は「脱北者」として人道的な送還が可能と考えられていた。
しかし北朝鮮は今年4月に「参戦」を認めた。これにより、彼らの地位は「脱北者」から「戦争捕虜(POW)」に変わり、ジュネーブ条約に基づき「戦争終了後に本国へ送還されるべき存在」と見なされる可能性が高まった。
とはいえ、ジュネーブ条約には「捕虜本人の意思に反しての本国送還は禁止」と明記されており、すでに韓国亡命の意思を明言している2人が強制的に北朝鮮に送還される可能性は低い。
韓国政府は現在、ウクライナ政府と外交ルートや情報当局を通じて交渉を進めているが、交渉の詳細は明かしていない。また、ユニセフや赤十字国際委員会(ICRC)などの国際機関との協調も必要不可欠とされており、軽々に手続きを進めることは困難な状況だ。
加えて、米国・ロシア・ウクライナの間で進行中の戦争終結交渉の行方も影響を与えている。ウクライナにとって北朝鮮兵も、ロシア兵と同様に交渉のカードとなり得るため、個別の送還に応じる余地は狭いというのが専門家の見解だ。
(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News