【12月2日 AFP】東南アジア各地での豪雨や洪水、土砂災害による死者が2日、1200人を超えた。最も大きな被害を受けたスリランカとインドネシアでは、洪水で取り残された数十万人に急いで支援を届けるため、政府や支援団体による活動が続いている。

季節風(モンスーン)の豪雨に加え、先週発生した二つの熱帯性低気圧の影響で、スリランカやインドネシアのスマトラ島、タイ南部、マレーシア北部が大雨に見舞われ、大規模な洪水や土砂災害が発生した。

被災地では洪水の水はほぼ引いたものの、いまだに数十万人が避難所に身を寄せ、清潔な水や食料の確保に苦労している。

インドネシアのアチェ州は、被害が最も大きかった地域の一つ。被災住民からは、金銭的な余裕がある人たちが物資を買い占めているとの声が上がっている。

バンダアチェの給油所では、燃料を求める人たちで長蛇の列ができていた。列に並んでいた29歳の女性は「洪水被害地域では道路のアクセスがほとんど遮断されていて、みんな燃料がなくなるのを心配している」と語り、すでに2時間並んでいると話した。

被災地では物価の急騰が起きている。こうした状況を受け、インドネシア政府は1日、被害の大きかったアチェ、北スマトラ、西スマトラの3州に3万4000トンのコメと680万リットルの食用油を支援物資として送ると発表した。

支援団体は物資を被災地に輸送するための活動を続けているが、地元市場では必需品が不足し、価格はすでに3倍になっていると報告されている。

慈善団体イスラム・リリーフは「今後7日以内に供給ラインを再確立できなければ、アチェ全域で深刻な食料不足と飢餓が生じるリスクがある」と警告した。

インドネシア災害当局の2日の発表によると、スマトラ島で発生した洪水と地滑りによる死者は659人となった。これまでに100万人が避難しており、行方不明者475人の捜索活動が続けられている。

タイ南部では176人、マレーシアでも2人の死亡が報告されている。

同じ時期に別の熱帯性低気圧の直撃を受けたスリランカでは、豪雨とそれに伴う鉄砲水や土砂災害により410人の死亡が確認された。行方不明者は336人に上っており、被災現場では捜索活動が続いていることから、死者数はさらに増える見通しだという。(c)AFP