香港火災、説明責任求めた住民拘束 オンライン署名も削除
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【11月30日 AFP】香港住民のマイルズ・クワン氏は、これまでに128人の死亡が確認されている市内の集合住宅で起きた大規模火災についての説明責任を訴え、駅前で通勤客に声を掛けてビラを配っていた。報道によると、クワン氏はその後、当局に身柄を拘束された。
24歳学生のクワン氏はAFPに「今の(香港の)状況に私たちは皆、満足していない。少しでも良くなってほしい」と話し、駅前でビラ配りをし、火災についての独立調査を求めていた。
「香港はいま、内外ともに欠陥だらけだという現実を率直に受け止める必要がある」と訴えていたクワン氏らの要求は、オンライン署名活動へと広がり、1日足らずで1万筆を集めた。
しかし、香港メディアは29日夜、クワン氏が扇動の疑いで、香港国家安全部に身柄を拘束されたと伝えた。オンライン署名の文章も削除され、中国政府の厳しい監視下で、異論の声がどれほど素早くかき消されるかを示す形となった。
クワン氏の拘束について、警察は「状況に応じて法律に基づき対応する」とだけ述べ、その事実を確認しなかった。AFPは30日朝、クワン氏に電話で連絡を試みたが、応答はなかった。
かつて香港は活発な政治運動で知られたが、2020年に民主化デモを受けて中国が国家安全法を施行して以降、その勢いは失われている。
クワン氏拘束が報じられたのは、「反中勢力」が今回の惨事を利用して「社会の分断をあおり、当局への憎悪を煽っている」と国家安全部が非難した直後だった。
28日、逮捕を恐れていないかと尋ねられたクワン氏は「ごく基本的な要求をしているだけ」と話していた。
「もしこうした考えが扇動とみなされ『一線を越えた』と言われるのであれば、もはや何が起こるのか予測もできない。ただ、自分が正しいと信じることをするだけ」との考えを示していた。