【11月26日 AFP】タイ・バンコクの拘置所で悪名高い中国人被収容者に個室で女性と面会させるなどの特権を与えていた疑惑を受け、司法省は所長を停職処分にしたと発表した。

このスキャンダルは先週、地元メディアがバンコク拘置所で中国人女性2人が被収容者との面会を許可され、性的サービスを提供していたと報じたことで発覚。中国人女性2人の立ち入りを許可したのは誰かという疑惑が浮上した。

バンコク拘置所には、刑事裁判の判決が確定していない男性の被疑者・被告人4000人が収容されている。その中には、今月身柄を引き渡された中国人の佘智江(She Zhijiang )被告など、タイで最も悪名高い犯罪の被疑者・被告人も含まれている。

司法省は24日、バンコク拘置所の所長と、秘書官を務める上級刑務官を停職処分とした。

ルッタポン・ナオワラット法相は24日夜の声明で、拘置所職員が「中国人被収容者を特別扱いしていたとされる」事件は「証拠に基づいて処理されている」と述べた。

司法省は先週の声明で、拘置所の捜索で、コンドーム、タバコ、酒などの持ち込みを禁止されている物品が発見されたと述べた。

さらに、「高官用の応接室として改装中の独房内で、被収容者1人が中国人女性2人と刑務官の立ち合いなしで一緒にいるところも発見された」とされる。

その独房には、テーブル、ソファ、冷蔵庫など、通常は被収容者に与えられないぜいたく品が置かれていた。

「予備調査の結果、コンドームの箱、ティッシュペーパーに付着した体液、精液に似た染みなどが発見された」ため、鑑識に送付された。

監視カメラの映像は削除されていたが、復元できた映像には、中国人女性2人が拘置所に入る場面が映っていた。

ルッタポン法相は22日の記者会見で、中国人女性2人は秘密のルートからではなく、通常の手続きに従って拘置所に入ったと述べ、複数の職員が関与している可能性を示唆した。

司法省によると、中国人女性2人の女性は売春への関与を否定している。

司法省は、所長を含む職員約20人を不正行為で訴追したと述べ、「買春に関与した職員はいない」と付け加えた。

このスキャンダルに関与したとされる複数の被収容者は別の拘置所に移送された。

世界各国の腐敗や汚職を監視するNGO「トランスペアレンシー・インターナショナル」は、最新の腐敗認識指数ランキングで、タイを180か国中107位に位置付けている。

タイの司法制度において、受刑者や被収容者が賄賂(わいろ)によって優遇されているとの疑惑は珍しくない。(c)AFP