【7月23日 AFP】インドネシアの刑務所で、職員らに賄賂を支払った受刑者が、エアコンや薄型テレビ、専用の浴室などを完備したぜいたくな独房を享受していたことが判明した。汚職対策当局が発表した。腐敗がまん延している同国で、新たなスキャンダルが発覚した格好だ。

 汚職捜査を担う汚職撲滅委員会(KPK)によると、スカミスキン(Sukamiskin)刑務所の職員らは受刑者から2億~5億ルピア(約150万~390万円)の賄賂を受け取り、独房の改装や禁止されている携帯電話の提供、さらには一時的に外出まで認めていたという。

 この件に絡み、受刑者の他、現金や車2台を受け取って見て見ぬふりをしていた刑務所長ら、計5人が逮捕されたとしている。

 22日に行われた捜査で、お湯の出るシャワーが付いたモダンな浴室や大型冷蔵庫、コーヒーメーカー、電子レンジにステレオスピーカーなどを備えた独房が複数見つかった。

 また、この刑務所で服役している元税務職員はかつて、バリ(Bali)島でテニスの大会を観戦している姿が激写された上、別の刑務所に入所しているはずの期間に、偽造旅券で国外に出ていたことさえあるという。ただこの受刑者は、22日の逮捕者には含まれていない。

 インドネシアの刑務所は概して、環境が劣悪で暴力行為が頻発することで知られている。

 その一方で、裕福で有力な受刑者は入所中もぜいたく品を入手できるというのは公然の秘密となっており、昨年には政府が、受刑者から特別待遇の見返りに収賄した看守やその他の職員らを収監すると警告していた。(c)AFP