【11月24日 AFP】南アフリカで開催された主要20か国・地域(G20)首脳会議が23日、閉幕した。米国の欠席、戦争、そして深まる地政学的な対立の中、変化する世界秩序への適応を迫られる状況にあって、参加国の指導者らは多国間主義を称賛した。

アフリカで初開催となった今回のG20では、分断が進む世界でG20がどのように存続できるかについて、指導者たちは真剣な議論を行った。

カナダのマーク・カーニー首相は、「あまりにも多くの国が地政学的なブロックや保護主義の戦場に後退している。われわれは移行ではなく断絶を経験している」と記者団に述べた。

南アフリカのシリル・ラマポーザ大統領は、閉会を宣言する直前に「この会議は、われわれの時代の重要課題に対する進展を求める声が世界中で高まる中、極めて重要な時期に開催された」と述べた。

その上で、国際協力への挑戦がある中でも、会議の初めに発表されたG20首脳による共同声明は「多国間協力への新たなコミットメントと、共通の目標が相違を上回るとの認識を再確認した」と強調した。

G20の声明には、会議が「地政学的・地経済的競争と不安定性の高まり、紛争と戦争の激化、不平等の深刻化、世界経済の不確実性と分断の増大という背景の中で開催された」と記されていた。

フランスのエマニュエル・マクロン大統領も22日、「G20は一つのサイクルの終わりに近づいているかもしれない」と述べ、世界の紛争に共通の立場を見いだすことの難しさを指摘し、今後は戦略的な経済問題に焦点を絞るべきだと主張した。

■「新たなつながり」

カーニー氏、ラマポーザ氏、ブラジルのルイス・イナシオ・ルラ・ダシルバ大統領ら複数の指導者は、新興経済国とグローバルサウスの重要性がG20で一段と増していると述べた。

ルラ氏は記者団に対し、「ブラジルでのCOP(国連気候会議)や、ここ南アフリカでの一連の会合により、多国間主義がこれまで以上に力強く生きていることが示された」と語った。

また、ドナルド・トランプ米大統領が「多国間主義の終わりを事実上唱え、一国主義を強めようとしている」と述べた上で、「協力すればはるかに強くなり、世界の問題も解決しやすくなると信じている」と付け加えた。

ドイツのフリードリヒ・メルツ首相は、米国が欠席したことについて「良い決定ではなかったと思うが、それは米国政府が判断することだ」と述べた。

「今日と昨日ここで私が少し驚いたのは、世界が現在再編されつつあり、ここで新たなつながりが生まれているのが見えるという点だ」とメルツ氏は記者団に語った。(c)AFP