韓国・毎年400人の警察官が現場で負傷…PTSD対策は「10人に1人」
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【11月22日 KOREA WAVE】外傷後ストレス障害(PTSD)のリスクが高い事件に日常的に直面する警察官に対し、十分な心理的ケアが行き届いていない実態が浮き彫りになった。特に、犯人から直接暴行を受けた「被襲警察官」に対する緊急心理支援の実施率はわずか11%にとどまり、10人中9人が適切な支援を受けられずにいる。
11月20日に公開された韓国国会行政安全委員会の2026年度予算審査報告書によれば、2021年から2024年までの4年間、全国の警察が殺人・変死事件の現場に出動した件数は年間平均5万7675件に達した。1件あたり平均6人(地域警察官・刑事・鑑識官ら)が出動しており、年間の現場投入は延べ34万件に上る。
しかし、この期間に実施された緊急心理支援は年間平均719人に過ぎなかった。さらに、犯人により負傷した警察官は年間平均392人であるにもかかわらず、心理支援を受けたのはわずか43人(11%)だった。
このような心理支援の低い実施率の背景には、専門人材とインフラの不足がある。現在、全国には「警察こころケアセンター」18カ所が設置されており、カウンセラーはたった36人。1センターあたり平均2人の配置で、1人当たり年間1000件以上の相談を処理している過密状態だという。
警察庁は来年度、センターを1カ所追加する予定だが、当初6カ所の増設を要望していたことからも、対応力の限界が指摘される。
また、心理支援の利用状況を見ても、警察官が自主的にセンターを訪れる「自主相談」は2023年に3万件近くに上ったが、カウンセラーが現場を訪れる「緊急心理支援」や「指定相談」の件数は極めて少なかった。
報告書は、階級が高いほど心理支援を受ける割合が低いことも指摘。たとえば、50代以上の警察官の「指定相談」実施率は31.2%で、40代(55.0%)と比較しても大きな差があった。この背景には「上司として弱さを見せてはならない」という組織文化の圧力が影響しているとみられる。
中源大学警察行政学科のユ・ヨンジェ教授は「カウンセリングを受けることが『レッテル』として認識され、昇進や評価に不利益があるのではという懸念が相談へのハードルを上げている」と述べた。
一方、心理学の専門家である檀国大学のイム・ミョンホ教授は「PTSDは慢性化するケースが多く、長期治療が必要になる。警察官は転勤が多いため、地域ごとに継続的に専門家と連携できる『コントロールセンター』の設置が警察庁内に必要だ」と提言している。
(c)NEWSIS/KOREA WAVE/AFPBB News