【11月22日 AFP】ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は21日、米国が提示したウクライナ紛争の和平案に難色を示した。一方、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は和平案を歓迎した。

和平案は28項目で構成。ウクライナに領土割譲、軍備縮小、北大西洋条約機構(NATO)加盟禁止を課す一方、ロシアは領土を獲得し、世界経済に再統合され、主要8カ国(G8)に復帰する内容で、プーチン氏の強硬な要求が多く含まれている。

​​ドナルド・トランプ米大統領が感謝祭の27日までに和平案に合意するよう要求したのを受け、ゼレンスキー氏は、いかなる合意であろうとウクライナの国益を「裏切る」ことのないよう努力すると約束したが、同盟国としての米国を失うリスクがあることを認めた。

ゼレンスキー氏は国民に向けた演説で、ウクライナは歴史上最も困難な局面の一つに直面していると述べ、トランプ氏による和平案の対案を提示すると付け加えた。

2022年2月のロシアによる全面侵攻に対し、ウクライナ政府の対応を統率した経緯を振り返り、「われわれはあの時ウクライナを裏切らなかった。今度も裏切ることはない」と主張。「私は議論を展開し、説得し、対案を提示するつもりだ」と付け加えた。

さらに、「われわれは今、歴史上最も困難な局面の一つに直面している」「ウクライナは最も厳しい圧力の一つに直面している。非常に難しい選択を迫られる可能性がある。尊厳を失うか、重要なパートナーを失うリスクを取るかだ」と述べ、米国に切り捨てられる可能性について警告した。

プーチン氏は、和平案は最終的な和平合意の「基礎を築く」可能性があると述べる一方、ウクライナが交渉から離脱した場合、さらなる領土の占領すると警告した。

プーチン氏は安全保障会議で、「ウクライナとその欧州同盟国は依然として幻想にとらわれ、戦場でロシアに戦略的敗北をもたらすことを夢見ている」と述べた。

ウクライナが交渉から離脱すれば、ロシアが最近制圧したと主張しているウクライナ東部の要衝クピャンスクと同じことが、「必然的に前線の他の要衝でも繰り返されるだろう」と付け加えた。

ウクライナ側は、クピャンスクはまだ陥落していないと主張している。(c)AFP