高市首相の台湾発言、中国メディア・市民からも反発の声
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【11月18日 AFP】高市早苗首相が台湾有事を「存立危機事態になり得る」と答弁したことを受けて日中関係が緊張する中、中国ではメディアと一般市民の間でも日本への怒りが広がっている。
台湾を自国領の一部と位置づけ、必要なら武力行使も辞さない姿勢を示している中国政府は、7日の高市首相の発言に強く反発。撤回を要求し、14日には日本の駐中国大使を呼び出して抗議した。
一方、中国の薛剣・駐大阪総領事は8日、高市氏に向けたとみられるメッセージをX(旧ツイッター)に投稿。現在は削除されているが、「その汚い首を切り落とす」と書き込み、日本政府が中国大使を呼び出して抗議する事態となった。
日中関係の緊張について、首都北京の飲食業界で働く男性(36)はAFPに「わが国の統一が彼ら(日本)と何の関係があるのか」と述べ、「まるで他人が自分の家族に干渉してくるようなものだ」と語った。
ネット上でも非難が広がっている。17日朝、SNS「微博(Weibo)」のトレンド上位5件のうち3件が日本との論争に関連する話題だった。
共産党機関紙・人民日報は17日の論評で「高市氏が台湾について誤った発言を繰り返すことは、軍国主義の亡霊を復活させるに等しい」と指摘。「日本の右翼勢力が持つ極めて誤った危険な歴史的および戦略的見解を完全に露呈させた」とし、「日本の戦略的方向性における危険な転換だ」と主張した。
中国中央テレビ(CCTV)は「高市氏が悔い改めを拒むなら、日本の破滅は永遠のものとなる」と論評した。
一方で、高市氏の「極めて不合理な」発言への中国政府の対応が「非常に抑制的だ」と評価する声もある。北京で技術者として働く男性(40)は「政府の声明、とりわけ非難は非常に支持している」と語った上で、「言葉だけなら問題ないが、実際に行動を起こすなら、わが国の軍隊は必ず日本を打ち負かすだろう」と述べた。
中国国防省は14日、台湾をめぐるいかなる紛争への介入でも日本は「痛みを伴う代償を払うことになる」と警告している。(c)AFP