【11月21日 CNS】「受注が非常に多く、生産スケジュールはすでに2028年末まで埋まり、一部は2029年にまで達している」

これは最近、中国船舶集団(CSSC)が公表したデータだ。こうした状況は特例ではなく、中国造船業が急成長していることの象徴である。造船大国として、中国の造船企業はまさに「受注ラッシュ」の状態にある。

中国船舶工業行業協会が発表したデータによると、2025年6月末時点で、「第14次五か年計画(十四五)」期間の世界の新造船注文の64.2%を中国が受注し、「第13次五か年計画期間(十三五)」期間より15.1ポイント増えた。市場シェアは16年連続で世界1位を維持している。

米国が中国船舶に対して意図的に「港湾サービス料」を課し、中国造船業を抑制しようとしているものの、世界の新たな注文は依然として中国の造船所に集まっている。最近では、ニュージーランド政府が韓国企業との契約を取り消し、大型フェリー2隻の建造を中国企業に発注した。「韓国ではなく中国を選ぶ」決定は、中国の造船能力への直接的な信頼を表している。

完工量、新規受注量、手持ち受注量は造船業の三大主要指標だが、2025年1~3四半期において中国の市場シェアは引き続き世界トップで、載貨重量トンベースでそれぞれ53.8%、67.3%、65.2%に達した。こうした数字からも、中国造船業の実力の強さがうかがえる。

では、この実力はどこから生まれたのか。核心は自主的な技術革新だ。かつて大型LNG運搬船や超大型クルーズ船など高付加価値船型の主要技術は一部の国に独占され、中国造船業は中低価格帯市場にとどまっていた。しかし現在ではこの技術突破戦に決定的な勝利を収め、中国は造船業で最も難度が高く象徴的とされる、航空母艦・大型クルーズ船・大型LNG運搬船という「三大最高峰」の分野をすべて自力で手にした。

高付加価値化への転換が加速する中、「万能選手」となった中国造船業の実力は日々強まり、今年は韓国が2011年に記録した541億ドル(約8兆3714億円)の造船輸出額に挑戦する可能性がある。税関総署のデータでは、2025年1~3四半期の船舶輸出額は401億ドルを超え、前年同期比21.4%増となった。年間で2024年の433.8億ドル(約6兆7126億円)を上回ることは確実視されている。

グリーン転換も中国造船業の強みとなっている。国際海事機関(IMO)は2050年前後に世界の海運業をネットゼロ排出とする目標を掲げ、グリーン船舶は市場の主役となっているが、中国はすでに先行して準備していた。全国的に見ると、2024年の新規受注グリーン船舶の国際市場シェアは78.5%に達し、主要船型すべてをカバーした。世界の海運がネットゼロ転換へ向かう中で、中国造船業は的確に成長機会をつかんだことになる。

産業チェーンの強靱さも、中国造船業の揺るぎない競争力を形づくっている。造船は100万点以上の部品を必要とする産業であり、サプライチェーンの完全性が競争力を左右する。ニュージーランド政府が中国企業を選んだ理由も、この総合的な強みを評価したためである。

現在の中国造船業は、原材料から核心部品、最終組立までをカバーする完全な体系を形成している。LNG船の産業構成では、関連企業135社が10省に広がり、上海市と江蘇省(Jiangsu)だけで117社が集まり、高効率な産業集群を形成している。船舶用高強度鋼からスマート航行システム、大型主機、精密機器に至るまで、国産化が全面的に進んでいる。この強靱性は単なるコスト優位をもたらすだけでなく、安定した納期を保証する。世界的に造船能力が逼迫する中でも、中国の造船所は常に納期通りに引き渡し、世界の船主からの信頼を得ている。

産業チェーンの波及効果も大きい。データによれば、クルーズ船建造は1元(約21円)の投資で14元(約305円)の産業効果を生み出し、国産大型クルーズ船だけでも数万人規模の雇用を創出した。「一隻造れば、一つの産業チェーンが活性化する」というほどで、中国造船業の競争力は強固な循環体系を形成している。

欧州から日本・韓国、そして中国へ。世界の造船中心は時代とともに移り変わってきたが、それは産業競争力の新たな段階を刻むものでもある。激しい国際競争の中にあっても、中国が16年連続でトップに立ち続けているのは、単に注文量が多いからではなく、技術力、グリーン化、産業チェーンの総合力で勝っているからだ。

次々と「中国製」の船が世界へ出航する中、造船大国である中国は、造船強国へとさらに加速している。「中国船の奇跡」の新しい航海はすでに始まっている。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News