【11月18日 CNS】物流は実体経済の「血管」にあたり、その流れがスムーズかどうかは国内の経済循環の効率と質に直結する。10月17日に開かれた国務院常務会議は、全社会の物流コストを効果的に引き下げる行動の実施状況を聴取し、重要な方針を打ち出した。物流コストの削減は国内大循環を円滑にし、現代的な産業体系を構築するための基盤となる。

今回示された「コスト削減・品質向上・効率改善」のための体系的な方針は、現代物流システムの構築が加速段階に入ることを意味する。物流コストを下げるうえで交通・物流分野は最重要ポイントだ。会議は「貨物輸送構造の調整を深化させる」と強調し、現行の物流構造における核心的なボトルネックに切り込んだ。

中国は高速鉄道、高速道路、郵便・宅配網、港湾群のいずれも世界トップクラスの規模を誇るが、輸送構造は長年にわたり道路輸送に偏ってきた。道路輸送はコストやエネルギー負担が大きく、効率面で課題がある。このため「公転鉄(道路から鉄道へ)」「公転水(道路から水運へ)」を推進し、多式連絡輸送を発展させることが鍵となる。

たとえば「公転水」では、各地で運河整備が進み、内河航運の容量が拡大している。水運は輸送コストが低いため、水運比率を高めることで物流コスト全体を引き下げることができる。だが実現は容易ではない。多式連絡輸送は道路・鉄道・水運など複数の方式が関わるため、管理制度、標準、書類、コンテナ、情報プラットフォームなどが統一されておらず、「つながらない」「流れない」という問題が起こりやすい。

会議が「多式連絡輸送の管理制度や標準の調整・連携を強化する」としたのは、こうした障害を取り除き、委託から配送まで一貫したシステムを構築し、輸送チェーン全体の効率を高めるためだ。

ハード面の連携に加え、ソフト面のデジタル連携も重視された。「物流デジタル基盤の整備・高度化」「物流データの開放・連携」「AIと物流の深度融合」などの取り組みが示された。物流業は膨大なデータを生み出すが、長らく「データの孤島」が存在してきた。港湾、鉄道、空港、倉庫、製造、ECなどのデータが連携すれば、全体最適化が可能になる。

さらにAIが本格的に活用されれば、物流は自動化から「知能化」へと進む。AIが需要量を予測し、倉庫配置を最適化し、配送ルートを導き、在庫を動的に調整し、無人物流も実現していく。政策は物流の労働集約型から技術集約型への転換を強く後押ししている。スマート物流は「低コスト・高品質・高効率化」を支える重要な手段になる。

会議では物流インフラへの投資強化も明確にされた。物流倉庫、冷链物流、緊急物流、都市配送ネットワーク、国家物流ハブなどの不足部分に重点投資し、国内外とつながり、安全で効率的な現代物流体系を構築する狙いがある。

また、物流企業とくに小規模企業の資金繰りの難しさにも着目し、「物流企業、特に小規模企業への短期融資支援を強化する」とした。物流企業は運転資金需要が大きく、リスク耐性が弱いため、資金支援は物流ネットワークを維持し、企業基盤を強くするうえで不可欠だ。

今回の施策は単発ではなく、物流効率を総合的に高めるための「政策パッケージ」と言える。物流コストの削減と物流体系の高度化は、新たな発展格局づくりと産業競争力の底上げに向けた重要な土台になる。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News