【11月17日 AFP】環境保護団体グリーンピースは16日、フランスが再処理されたウランをウクライナとの戦争を行っているロシアに輸出し、再利用ができるようにしていると発表した。

グリーンピースは、取引は合法ではあるが「非道徳的」だと主張し、2022年に始まったロシアによる侵攻を受けて多くの国が制裁強化を目指している中での行為に批判の声を上げている。

同団体のメンバーは15日、仏北部ダンケルクで放射性物質のラベルが貼られた約10個のコンテナが貨物船に積み込まれる様子を撮影。パナマ船籍の貨物船は、フランスからロシア・サンクトペテルブルクへ、濃縮ウランや天然ウランを運ぶために定期的に使用されているとグリーンピースは述べている。

ただし、今回の積み荷は、過去3年間で初めて確認された再処理ウランの輸送だったという。

グリーンピースのポリーヌ・ボワイエ氏はAFPに対し、「違法ではありませんが、非道徳的です」と述べ、「フランスは、3年間にわたりウクライナのザポリージャ原子力発電所を占拠している国営企業ロスアトムとの契約を終了すべきです」と述べた。

フランス電力(EDF)は、ロスアトム傘下の企業テネックスと2018年に再処理ウランのリサイクルに関する6億ユーロ(約1077億円)の契約を結んでいる。この事業は、ウクライナ戦争に関連する国際制裁の影響を受けていない。

ロスアトムは、再処理ウランを再濃縮可能な形に変換するための重要な工程を実施できる世界唯一の施設を、シベリアのセベルスクに保有している。

ウランは再処理することで再濃縮・再利用が可能であり、国際市場でウラン価格が再び上昇していることから、電力会社にとって使用済み燃料の再処理は経済的に魅力が増している。(c)AFP