英BBC会長辞任、トランプ氏の演説で誤解招く編集
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【11月10日 AFP】英BBCのティム・デイビー会長が9日、ドナルド・トランプ米大統領のドキュメンタリー番組の編集をめぐる論争を受けて辞任を表明した。トランプ氏は「腐敗したジャーナリストたち」を非難している。
デイビー会長と報道局最高経営責任者(CEO)のデボラ・ターネス氏は、看板番組「パノラマ」でトランプ氏の演説を誤解を招く形で編集したとの批判を受け、辞任した。
トランプ氏はこの報道に反応し、「腐敗したジャーナリスト」が暴かれたとし、「彼らは大統領選のてんびんに手を加えようとした非常に不誠実な人々だ」と述べた。
BBCのウェブサイトに掲載された声明でデイビー氏は、「すべての公共機関と同様に、BBCは完璧ではない。常に開かれた姿勢、透明性、説明責任が求められる」と述べ、「唯一ではないが、今回のBBCニュースをめぐる議論は、私の決断に当然ながら影響を与えた。最終的な責任は私にある」とも語った。
今週、英紙デイリー・テレグラフは、元BBC編集基準委員会の外部顧問マイケル・プレスコット氏が夏に提出した「公平性に関するメモ」で、懸念が初めて示されたと報じていた。
BBCは10日に議会の文化・メディア・スポーツ委員会で「全面的な回答」を行うとしている。
問題が指摘されたのは、2021年1月6日にトランプ氏が行った演説の一部をつなぎ合わせた映像で、米議会議事堂への暴徒による襲撃を扇動したとされる場面だ。
編集された映像では、トランプ氏が支持者に対して、議事堂へともに歩いて向かい、「地獄のように戦おう」と呼び掛けたように見せていた。
しかし、編集されていない実際の映像では、トランプ氏は「われわれは勇敢な上院議員や下院議員を応援するために一緒に歩こう」と述べていた。
当時、トランプ氏はジョー・バイデン氏の大統領選での勝利を認めておらず、再選を逃した後も結果に異議を唱えていた。
この編集された映像は、BBCが昨年の米大統領選の直前に放送した「Trump: A Second Chance?」というドキュメンタリーに含まれていた。
文化・メディア・スポーツ相のリサ・ナンディ氏はBBCのインタビューで、トランプ氏の映像編集はBBCの編集基準に関して、複数ある懸念の一つだと述べた。
ナンディ氏は「非常に深刻な疑惑が複数あり、その中で最も深刻なのは、BBCが難しい問題を報道する際に体系的な偏向があるということだ」と指摘している。(c)AFP