【11月7日 AFP】米国の右派インフルエンサーらが、ニューヨーク市長選で勝利したゾーラン・マムダニ氏(34)をイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」と偽って関連付け、虚偽の声明を拡散して数百万回の閲覧を集めたと、6日に研究者が発表した。

マムダニ氏は、政策提案や宗教的背景に対する激しい攻撃を受けながらも圧倒的な勝利を収め、イスラム教徒かつ南アジア系として初めてニューヨーク市長に選出された。

X(旧ツイッター)では、反マムダニ派の複数アカウントが「マンハッタン計画」と題された、ISの声明とされる文書を拡散。この文書は、選挙当日のニューヨーク市での「米国の侵略」に対する攻撃を示唆する内容だった。

この偽の声明をマムダニ氏に結びつけたインフルエンサーの1人が、ドナルド・トランプ米大統領に近い保守系インフルエンサーのローラ・ルーマー氏だった。

ルーマー氏はXに「ムスリムたちは、きょうムスリムの市長候補の勝利を祝うのに、ニューヨークでISの攻撃を起こすことより良い方法を思いつかない」と投稿し、20万回以上の閲覧を記録した。

他の保守系アカウントもこの文書を引用し、過激派組織がマムダニ氏を市長として支持したと虚偽の主張を展開した。これらの投稿は全体で数百万回の閲覧を集めてた。

文書にはIS傘下のプロパガンダ機関アマクのロゴが表示されていたが、複数の研究者や偽情報監視団体「ニュースガード」によれば、これは偽造されたものであるという。

アメリカン大学の研究者は、アマクから発信される他の声明と異なり、この文書には特徴的な要素が欠けていると指摘。「アマクはISが攻撃の責任を主張する際などに使われるが、今回のような脅迫的な内容は通常含まれない」と述べた。

また別の研究機関は、言語、文体、形式、配信方法のいずれにおいても、ISの既存のメディア慣行と「著しく」異なると分析した。

この偽造文書は、陰謀論の温床として知られるネット掲示板「4chan」で最初に出現したとみられている。(c)AFP