「クマに国境は分からない」グリーンピース、スロバキアの駆除めぐりEUに提訴
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【11月7日 AFP】環境保護団体グリーンピースは6日、スロバキアがポーランドとの国境付近でクマを駆除しているとして、欧州連合(EU)に苦情を申し立てたと発表した。
スロバキア政府は4月、人への危険性と個体数増加を理由に、ヒグマ350頭の駆除を承認した。
グリーンピースのポーランドにおける広報担当者、カタジナ・ビレフスカ氏は6日、AFPに対し、「クマの射殺がポーランド国境のすぐ近くで行われているため、グリーンピースはスロバキア政府に苦情を申し立てた」と述べた。ポーランドではクマが保護されている地域だ。
グリーンピース・ポーランドの活動家、アレクサンドラ・ウィクトル氏によると、ヒグマはポーランドで保護対象になっているが「クマに国境の概念は分からない」ので、「国境を越えてスロバキアに入ることは頻繁にある」。
このためスロバキア政府によるクマの大量駆除の決定は、「ポーランドに生息する約130頭のヒグマを脅かしている」という。
ポーランドはスロバキアに対し、少なくとも国境から30キロメートル以内でのクマ駆除を控えるよう公式に要請したが、無視されている。
スロバキアは、農業被害や人身被害を起こした場合、かつ解決策がない場合に限り、クマの駆除を認める欧州連合(EU)指令に従う義務がある。
スロバキアでは今年、クマによる襲撃が約20件記録されており、数人が負傷している。
公式データによると、人口540万人のスロバキアには1000~1275頭のクマが生息している。
2024年は92頭、今年は160頭が駆除された。(c)AFP