【11月15日  People’s Daily】月の裏側で約42億年前と28億年前に火山活動が存在したことが初めて解明された。月の裏側の古地磁気情報を初めて取得した。月の裏側のマントルの水分含有量を初めて測定した。このほど、中国科学院は嫦娥6号(Chang'e-6)が持ち帰った月サンプルに関する一連の最新研究成果を発表し、世界で初めて月の裏側の進化史を明らかにした。

嫦娥6号が2024年6月に月の裏側のサンプルを持ち帰ってから、わずか1年で研究者たちは多くの重要な成果を生み出した。そのうち4件は英国の総合科学誌「ネイチャー(Nature)」の表紙記事として掲載された。この効率的な研究成果のスピードは、国際的な同種のミッションをはるかに大きく上回っている。

嫦娥6号のサンプル研究はなぜこれほどの「加速度」を出せたのか?その背景には「組織的な科学研究」モデルが重要な役割を果たしたことがある。

「組織的な科学研究」モデルは、現在の科学技術の発展傾向と重大な課題に対応するため、従来の「自由探求」型科学研究とは異なる新しい組織的な枠組みだ。このモデルによって、体系的な配置、複数機関の連携、革新的なメカニズム設計を通じて、研究の分散化や連携の不足というボトルネックが突破された。

特に解決が急がれる重大な科学技術問題や攻略が急務の核心技術に対して、「組織的な科学研究」モデルは、分野の壁、機関の垣根を打ち破り、優れた力を集中して体系的な研究開発を行い、資源の分散や低水準の重複を避け、迅速なブレークスルーが実現できる。

嫦娥6号ミッションの科学的目標を最初に設定した際、研究者たちは月の裏側の南極エイトケン盆地に的を絞り、月の「二分性」という世界的な謎の解明に焦点を合わせた。このような重要な科学問題を「的」としたミッション計画によって、科学研究資源の分散的な消耗を回避した。さらに、嫦娥6号のサンプル研究過程では、中国科学院を中心に、南京大学(Nanjing University)、中国空間技術研究院など数十の機関が連携して難関攻略に当たり、多くの研究分野の深い融合が実現した。

異なる学問的背景を持つ科学者や技術者たちが一堂に会したことで、各自の考え方の衝突や革新を大いに促進した。例えば、同一の玄武岩屑に対して共同で年代測定、水分含有量、起源地域分析、磁場測定などを実施できたのは、地球化学、地質学、地球物理学など多くの分野のチームが連携して成し遂げた成果である。

「組織的な科学研究」モデルを採用すると同時に、科学研究の「未踏領域」に挑む精神も、研究チームが迅速に重要成果を上げた重要な要因だ。

嫦娥6号以前には、全ての月サンプル採取ミッションは月の表側でのみ行われ、月の裏側は文字通りの科学研究の「未踏領域」と言えた。中国科学院院士で中国科学院地質・地球物理研究所の研究員・呉福元(Wu Fuyuan)氏はかつて「月の裏側は人類が未だサンプルを採集したことがない領域であり、何が持ち帰られるかは全くの未知だった」と率直に認め、「この未知に対する畏敬の念と、重要な情報を見逃すかもしれないという『焦燥感』が、研究の最初から最後までつきまとった」と述べた。

一歩一歩が未知との挑戦に満ちていたにもかかわらず、研究チームは退却や放棄を選ぶことはなく、科学的目標に向かって奮闘し、ついに「ゼロから1への」重大な突破を成し遂げた。

新たな科学技術革命が絶えず深化するにつれ、科学問題は日増しに複雑化している。単一分野、単独の研究チームや個人による科学研究モデルでは、もはや複雑な科学問題や重大な技術的課題を解決するニーズを満たすことが困難になり、科学技術の最先端をターゲットにした研究、探求を展開するために、組織的な科学研究を強化する必要がますます高まっている。嫦娥6号のサンプル研究で成功した探求と実践は、より多くの重大な科学技術問題を解決するための模範と参考を提供できるものと確信している。(c)People’s Daily /AFPBB News