追悼と交流の場である「星たちの家」の除幕式に臨む梨泰院雑踏事故の遺族ら(c)news1
追悼と交流の場である「星たちの家」の除幕式に臨む梨泰院雑踏事故の遺族ら(c)news1

【10月27日 KOREA WAVE】ソウル・梨泰院で2022年10月29日に発生し、150人以上が犠牲となった雑踏事故から3年を迎える中、韓国警察は群衆事故への対応体制を強化している。首都圏では警察と行政機関の連携体制のもと、突発的な人波事故を未然に防ぐための具体的な対応策が進められている。

警察庁はこのほど、緊急通報番号112(日本の110番)の事件分類コードに「人波管理」を新設。従来は「危険防止」などの曖昧な分類に含まれていた群衆通報が、より迅速かつ正確に処理できるようになった。

また、ソウル警察庁では新たに「危機管理係」を新設。大規模な雑踏や災害時の対応を専門的に担う組織として機能する。梨泰院のように特定の主催者がいないイベントでも、警察が主体となって道路封鎖や避難誘導を行える体制が整いつつある。

韓国政府は2024年4月、行政安全省と警察庁が共同で「道路・広場・公園における多数群衆災害の危機管理標準・実務マニュアル」を策定。地方自治体ではこれを受けて「現場対応マニュアル」も準備した。

このマニュアルは、特定の主催者が存在しないイベントや、慣習的に人が集まる場所での事故発生時にも適用される。従来は主催者責任が基本であったが、改訂後は行政と警察が「主幹機関」として責任を担う仕組みへと移行した。

事故の兆候が現れた場合には、行動指針に基づき各機関が情報共有と協力体制を強化。大統領室には定期的に群衆事故リスク評価を報告する義務も盛り込まれた。

2022年の事故では▽主催者不在の状況下での安全対策が不十分であった▽関係機関間の連携不足――が指摘された。これを教訓に、今回の制度改正では主催者がいなくても当局が主体的に介入できる体制が構築された。

たとえば、警察は災害安全通信網(PS-LTE)を通じて、消防や自治体とリアルタイムで情報を共有できるようになった。雑踏事故発生時には道路封鎖などの直接対応も担う。

加えて、週末や祝日に人が密集しやすい繁華街や飲食店街についても、危険度に応じた事前調査や情報収集が進められる。

専門家は制度の整備が進む一方で、「実際に現場でどれだけ機能するか」が課題だと指摘する。

牧園大学のチェ・ジン教授(消防安全学部)は「マニュアルはあっても現場で共有されず、実行されなければ意味がない。情報の共有と即応体制が何より重要」と述べた。

また、ソウル科学技術大学のチョン・ジンウ教授(安全工学科)は「マニュアル通りに動けなければ、事故を助長する恐れすらある」と警鐘を鳴らした。その上で「各機関が自らの役割を正確に理解し、定期的に検証・改善する仕組みが不可欠だ」と訴えた。

(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News