カンボジアとベトナムの国境地帯にある「オンライン詐欺犯罪団地」(c)news1
カンボジアとベトナムの国境地帯にある「オンライン詐欺犯罪団地」(c)news1

【10月25日 KOREA WAVE】カンボジアで発生した韓国人の拉致・拷問事件が波紋を広げるなか、被害者らに対する韓国の世論が分かれている。中には、違法行為に加担する可能性を知りながら現地へ渡った人々もいたことが明らかになり、「純粋な被害者とは言えない」との批判が出ている。一方で、詐欺に遭い監禁・暴行を受けた被害者への「二次加害」を懸念する声も上がっている。

在カンボジア韓国人社会では、「違法だと知りながら行った」との見方が強い。10年以上カンボジアに居住するある韓国人は「就職詐欺の問題はここ2~3年で急増した。『数千ドルのインセンティブがもらえる』という広告を信じて来るのは、違法だと分かっていても来るということだ」と語った。

高収入を求め自ら不法行為に関わろうとした人々の存在が、カンボジア全体を「犯罪の温床」と見せてしまったとして、現地の韓国人コミュニティでは観光業などに悪影響が出ているという。「旅行を予定していた人々が相次いでキャンセルし、現地で生計を立てる韓国人が打撃を受けている」との声もある。

インターネット上でも、「週500万ウォン稼げるという話を信じて行くのは理解できない」「ボイスフィッシングに加担しようとした者より、だまされて全財産を失った被害者の方がよほど気の毒だ」といった批判があふれている。

一方、現地犯罪組織から脱出した人々によると、犯罪に加担していた者の中には「成果が上がらない」「借金を負った」などの理由で暴行や監禁を受け、逃走を図るケースも多いという。そのため、カンボジアに拘束されている韓国人の中には帰国を拒否する者もいる。犯罪に関与したため、帰国後の処罰を恐れているとみられる。

韓国外務省は10月11日の説明資料で「純粋な就職詐欺被害者だけでなく、オンライン詐欺だと知りながら家族に隠して自発的に加担した事例も多い」と指摘。「救出後に大使館の支援を拒み、帰国後再びカンボジアに入国して詐欺拠点へ戻るケースも相当数ある」と明らかにした。

現地で韓国人救出を支援してきた救援団体も、被害者の中に犯罪関与を認識していた者がいる可能性を把握している。ただ、同団体は「いかなる場合でも、まず暴行や監禁から救出することが最優先」としている。救援関係者は「不法行為だと分かっていた青年からも救援要請があった。私たちは申請書の内容を信じるしかない」と語った。

一方、被害者非難の過熱に対しては、専門家から「被害者が加害者のように扱われる『二次加害』の危険がある」との警鐘が鳴らされている。

白石大学警察学部のキム・サンギュン教授は「社会には『被害は被害者の落ち度によるもの』とする考えがある。今回もその傾向が現れており、善良な被害者まで非難の矛先が向かいかねない」と指摘した。

ソウル大学心理学科のクァク・グムジュ教授も「事実関係が十分に確認されていない段階で被害者へのバッシングが激化し、まるで加害者のように扱われている。事件が大きく衝撃的であるほど、人々は原因を求め、誰かを責めたがる」と批判した。

(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News