北朝鮮、仮想通貨やIT技術者派遣で国連制裁回避 報告
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【10月25日 AFP】北朝鮮は、仮想通貨(暗号資産)を利用して原材料や軍需品を取引したり、資金洗浄と外貨獲得のために多数のIT技術者を海外に派遣したりして、国連制裁を回避している。国連安保理による北朝鮮制裁の違反を監視する多国間制裁監視チーム(MSMT)が報告した。
金正恩(キム・ジョンウン)氏の体制下で北朝鮮は近年サイバー作戦を強化しており、制裁下での外貨獲得の主要手段としてハッキングを活用している。
MSMTは22日に発表した報告書で、北朝鮮のサイバー部隊が今年1月から9月までに少なくとも16億5000万ドル(約2445億円)相当を窃取したとし、そのうち14億ドル(約2140億円)相当については2月に暗号資産取引所「Bybit」から奪われたと述べた。
北朝鮮は2024年にも12億ドル(約1834億円)相当の仮想通貨収益を不正に得ており、これらの資金を「大量破壊兵器および弾道ミサイルの違法な開発」に流用しているという。
報告書によれば、北朝鮮当局はステーブルコインと呼ばれる暗号資産を用いて、軍需品や銅などの原材料の売買や移転を含む調達取引を行っていた。
また、北朝鮮は少なくとも8か国にIT技術者を派遣することで制裁を回避。派遣先の大半は中国だが、他にロシア、ラオス、カンボジア、赤道ギニア、ギニア、ナイジェリア、タンザニアにも送られていた。さらに北朝鮮は、複数のIT労働者の集団を含めた約4万人の労働者をロシアに派遣することを計画しているという。
国連制裁では、北朝鮮労働者が海外で収入を得ることは禁止されている。
北朝鮮は近年、ウクライナ戦争でロシアに武器や兵士を提供することで、ロシアからの重要な支援を得ている。(c)AFP