英グルーミング・ギャング事件の調査、人種的・宗教的要素めぐり紛糾
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【10月24日 AFP】子どもにクルーミング(性的手なづけ)をして性加害・搾取を行った「グルーミング・ギャング」スキャンダルをめぐる英国の全国調査は23日、複数の被害者がジェス・フィリップス少女保護担当相(労働党)が辞任しない限り協力しないと表明したことで混乱に陥った。
このスキャンダルでは、イングランド各地で数十年にわたり、主に南アジア系の男たちが白人労働者階級の女性と少女数千人をレイプしたとみられている。
公式報告書は、当局がレイシスト(人種差別主義者)と見なされることを恐れて介入を怠ったと非難している。一方、極右勢力はこのスキャンダルを多文化主義と移民に反対するスローガンとして利用している。
キア・スターマー首相は当初、全国調査に抵抗していたが、米実業家イーロン・マスク氏らによる数週間にわたる圧力を受け、6月になってようやく重い腰を上げ、調査開始を発表した。
だが今週、調査委員長候補2人が辞退したことが明らかになり、調査開始の難しさが浮き彫りになった。
辞退した候補者の一人は警察官だが、「前職が原因で」一部の被害者から「信頼されていない」ことを辞退の理由に挙げた。もう一人は過去にソーシャルワーカーをしていた経歴を持つ。
さらに22日夜には、調査の被害者連絡パネルを務めていた4人の女性が辞任。フィリップス少女保護担当相が辞任すれば、パネルに戻る用意があると述べた。
4人は、調査が「骨抜き」にされ、人種的・宗教的要素が軽視される可能性があると指摘したが、フィリップス氏はこれを否定した。
4人はその後、シャバナ・マフムード内相に宛てた書簡の中で、フィリップス氏を「裏切り者」と非難した。
スターマー氏は、女性支援を行う慈善団体「ウィメンズ・エイド」で働いていた時から議員になってからに至るまで、長年にわたり性暴力被害者を支援してきたフィリップス氏を公に支持してきた。
23日の議会でも、調査が「決して骨抜きにされることはない」と強調。
「犯罪者の民族性と宗教を調査し、調査委員長にふさわしい人物を選定する」と述べた。
調査委員長には元裁判官か現職裁判官を任命するよう求める声が上がっているが、スターマー政権は、調査の結論が出るのが遅れるとして拒否している。
ルイーズ・ケイシー議員が執筆し、今年公表した報告書によると、グルーミング・ギャングは児童養護施設に入所している子どもや、学習障害や身体障害を持つ子どもなど、弱い立場にある青少年をしばしば標的としていることが明らかになった。
ケイシー議員は、施設側が被害者を見捨て、しばしば性的虐待の責任を被害者自身に押し付けてきたと指摘。当局についても「民族性や文化的要因」に関する議論を避けることが多かったと結論付けた。
スターマー政権は1週間前、中国のスパイと疑われた英国人2人の起訴撤回をめぐり検察と衝突したばかりで、世論調査ではスターマー氏が国民の支持を得るのに苦戦していることが示されている。(c)AFP