マスク氏、NASAと対立 月探査計画めぐり
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【10月22日 AFP】米宇宙企業スペースXのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は21日、米航空宇宙局(NASA)のショーン・ダフィー長官代行が米主導の国際月探査「アルテミス計画」で他の企業に人類の月面再到達を支援する新たな入札を募っていると発表したのを受け、ダフィー氏を激しく非難した。
マスク氏はX(旧ツイッター)への投稿で、運輸長官も務めるダフィー氏に言及し、「ショーン・ダミーはNASAをつぶそうとしている!」と述べた。
ダフィー氏は20日、中国との宇宙開発競争の中で、スペースXの大型宇宙船「スターシップ」の開発の遅れを理由に、NASAが人類の月面再到達ミッションを支援する新たな入札を募っていると発表した。
ダフィー氏はFOXニュースで、「スペースXは素晴らしい会社だが、問題は彼らが後れをとっていることだ。彼らは計画を延期し、われわれは中国との競争に直面している」と述べた。
アルテミス計画は、人類の月面再到達を目指している。一方、中国は2030年までに中国人初の月面着陸の実現することを目指している。
NASAは幾度かの延期を経て、アルテミス3号ミッションを2027年半ばに開始する計画だが、専門家によると、スペースXはロケットの準備が整うまでに複雑な技術的課題を克服しなければならないという。
ダフィー氏はその後、Xで「米国は中国との競争を繰り広げており、われわれを月へ最初に到達させるスピードでミッションを実施してくれる最高の企業が必要だ」と述べた。
ダフィー氏はジェフ・ベゾス氏のブルーオリジンなどを含め入札を実施する可能性についても言及した。
これに対しマスク氏はXで、「スペースXは他の宇宙企業と比べて電光石火の速さで動いている」と反論。
「最終的にはスターシップがアルテミスミッション全体を担うことになるだろう。私の言葉を覚えておくといい」と続けた。
正式なNASA長官を誰が務めるのかという疑問が渦巻く中、緊張が高まっている。
ドナルド・トランプ大統領は当初、マスク氏の側近である実業家ジャレド・アイザックマン氏を指名していたが、ホワイトハウスは5月、マスク氏とトランプ氏の関係が悪化する直前に、突如として指名を撤回した。
報道によると、トランプ氏はアイザックマン氏の起用を再検討している一方、ダフィー氏はNASAのポジションにとどまりたいと考えているという。(c)AFP