AIが多役を担う 中国「ダブル11」商戦が進化
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【10月25日 東方新報】中国の大型ネット通販セール「双11(ダブル11、11月11日)」が今年も開幕し、各大手ECプラットフォームが総力を挙げて臨んでいる。なかでも人工知能(AI)が「運営者・戦略家・販売員」として多様な役割を果たし、商戦の主役となっている。
企業側にとってAIは単なる運営ツールではなく、経営判断を支える「頭脳」となり、直接的に売上拡大に寄与している。天猫(Tmall)の劉博(Liu Bo)総裁は発表会で「AIがブランドに新しい成長の可能性をもたらしている」と語った。
今年、淘宝(タオバオ、Taobao)と天猫はAI分野への投資を大幅に強化した。プラットフォームの演算能力は従来比で40倍に向上し、ユーザー行動の分析期間も半年から10年へと拡大。これにより商品のレコメンド精度が大幅に上がり、購買効率は25%向上したという。
さらに天猫では、経営分析、商品運営、素材制作、顧客ターゲティングなど、ほぼすべての工程をAI化。これにより商家の運営が自動化・効率化し、累計で数百億元(数千億円)規模のコスト削減が実現した。
動画プラットフォーム「ビリビリ動画(bilibili)」も今年のダブル11でAIを活用。AIによって企業と動画クリエイター(UP主)のマッチングを最適化し、広告・販売の効率を高めている。同社の1日あたりのアクティブユーザーは1億900万人に達する。
一方、京東(JD.com)は「京小智」「京点点」などのAIツールを無料開放。生成AIを活用したカスタマーサポートにより、問い合わせ対応の待ち時間を短縮した。さらに、AIモデル構築ツール「JoyBuilder」やデジタルアバター「JoyStreamer」も提供し、中小企業でも簡単にAIを導入できるようにしている。
抖音(Douyin)の抖音電商は、AIによるビッグデータ解析を強化。AI大規模言語モデル「巨量雲図」を用いて消費者の嗜好や行動データを分析し、ブランド企業が商品の魅力や潜在的な販促機会を見いだせるよう支援している。
消費者にとっても、AIは買い物をサポートする「小さなアシスタント」になっている。天猫が配布する総額500億元(約1兆580億円)の割引クーポンのうち一部は、中国のECサイトが導入しているAIによるクーポン最適配布システム「智惠引擎(スマート・ディスカウント・エンジン)」が最適なタイミングで発行しており、従来よりも利用率が15%上昇した。利用者は不要なクーポンを延々と探す必要がなく、より効率的に買い物ができるようになった。
また、淘宝・天猫では「AI万能サーチ」など6種類のAIショッピング機能を新たに導入。たとえば「排水溝の小バエを駆除する方法」「犬と猫を飼う家庭に合う猫用トイレ」など、複雑な質問にも自然言語で答え、最適な商品と購入プランを提示する。
物流面でもAI化が進む。京東物流は初めて「スーパー・ブレイン」と「ウルフパック」と呼ばれるAI機器群を大規模に導入。スーパー・ブレイン2.0モデルは数千万の変数を2時間以内で最適化し、連携ロボット「ウルフパック」は配送ライン全体で通信しながら作業効率を約20%向上させた。
中航証券の最新レポートによると、AI技術はすでにEC業務の全工程に浸透しており、コンテンツ生成、レコメンド、顧客対応、サプライチェーン管理、物流まで効率と体験を大きく改善している。大規模言語モデルやバーチャル販売員などの技術導入が進むことで、EC業界は「流量主導」から「知能主導」へと進化しつつある。(c)東方新報/AFPBB News