【7月28日 東方新報】国家郵政局の公式微信(ウィーチャット、WeChat)によると、7月9日時点で中国国内の宅配便取扱件数が1000億件を突破した。これは2024年より35日も早いペースでの到達であり、郵政・宅配業界が消費の高度化や実体経済を支える柱となっていることを示している。あわせて、中国経済の強靱さと活力の高さもうかがえる。

記念すべき2025年の1000億件目の荷物は、家電の買い替えによって購入された家庭用エアコンで、広東省(Guangdong)中山市(Zhongshan)から江蘇省(Jiangsu)常州市(Changzhou)へと配送されたという。

近年、中国経済は質の高い成長を維持しており、それが宅配業の拡大を力強く後押ししている。今年は内需拡大や消費促進に向けた政策が一段と強化され、家電などの「買い替え促進」施策も対象製品が広がった。これにより、消費市場に新たな成長エネルギーが注ぎ込まれたと同時に、宅配業にも大きな追い風となった。

こうした政策に対応し、宅配業界では数百万の従業員が連携しながら、効率的で便利な一体型サービス体制を構築。ユーザー体験の向上、社会全体の物流コスト削減、そして資源を大切にする社会の実現に向けて尽力している。今後、内需拡大の戦略が本格化する中で、宅配業の果たす役割もさらに大きくなっていくと見られている。

「第14次五か年計画(2021〜2025年)」が始まって以降、中国の宅配業は「高品質な発展」を軸に成長を遂げてきた。宅配便の取扱件数は5年連続で1000億件を超え、今年は過去最速の達成となった。これは、国内の消費市場が拡大を続け、ECの普及率が高まり続けている証であり、宅配業の成長に拍車をかけている。宅配の「規模の経済」もより鮮明となり、他産業への波及効果や経済全体への貢献度も一層高まっている。

たとえば、新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)のヤルカンド県では宅配ステーションに全国各地からの荷物が山のように届き、内モンゴル自治区(Inner Mongolia Autonomous Region)のシリンゴル草原では牧民がスマホひとつで馬具を受け取ることができる。広東省(Guangdong)茂名市(Maoming)ではライチが収穫から24時間以内に全国の主要都市に届けられている。

「第14次五か年計画」の期間中、中国では都市と農村のインフラ整備が急速に進み、高速鉄道や高速道路、空港網の整備によって、物流の利便性と効率が格段に向上した。農村における宅配物流システムの整備も進み、都市と農村間の物資の循環が活発化。農産物の流通コストが下がり、流通効率も大きく改善されている。かつては弱点だった農村の宅配サービスは、いまや新たな成長分野へと変貌を遂げている。

河北省(Hebei)の平郷では、毎時約2万台の子ども用自転車が国内外に出荷され、遼寧省大連では、宅配サービスによって自動車部品メーカーのコストが年間100万元(約2037万7300円)以上削減されている。チベット自治区ラサ市では、地元ビールが宅配業の力を借りて全国展開の消費シーンを築きつつある。

こうした動きの中で、製造業と宅配業との融合も加速しており、宅配業のサービス範囲や成長余地が大きく広がった。宅配業は産業チェーンの中に密接に組み込まれ、工場内物流や国際サプライチェーンなどの新たなモデルを展開。製造業の物流プロセスを見直し、効率化することで、年間売上が100万元を超える重点プロジェクトが1600件以上誕生し、医療・新エネルギー車など先進産業の発展を後押ししている。

さらに、5G・IoT(モノのインターネット)・AIといった最新技術の導入も進み、宅配業のスマート化が急速に進展している。AIによる大規模モデルが倉庫管理から最終配達までの各工程を支援し、全体の効率化を後押し。無人化技術も倉庫・輸送・配達といった場面で力を発揮し、作業の自動化と最適化が進んでいる。

環境配慮の取り組みも進んでおり、省エネ・脱炭素の視点から、物流施設や機器の改修が行われている。包装資材の標準化・再利用・軽量化・無害化といった取り組みも拡大しており、物流ネットワークの規模を活かして、上下流の企業と連携したグリーン物流ソリューションの提供が進められている。これにより、産業全体としての持続可能な低炭素運営が期待されている。

国家郵政局の関係者は、「国として宅配業支援の政策を数多く打ち出し、ビジネス環境の整備も進められている。企業が安定して発展できる環境が整ってきている」と述べた。経済が大きく変革するこの時期において、宅配業は現代流通の要として、情報・資金・物流を一体で動かす力を活かし、生産から消費まであらゆる過程で要素の円滑な流通を支えている。その結果、地域間の資源循環が加速し、東部・中部・西部のバランスある発展や、国内外市場のスムーズな連携にもつながっている。

今後も宅配業界は、技術革新を原動力としながら、「スマート郵便」「グリーン郵便」の実現を進め、経済の循環を支え、人びとの生活をより快適にする存在としての役割を一層強めていく。(c)東方新報/AFPBB News