【10月20日  People’s Daily】灼熱の夏の日、安徽省(Anhui)蕪湖市(Wuhu)繁昌区新林村にある「伏羲ファーム」では、晩稲(おくて)が広範囲に植え付けられ、農業用ロボットが田んぼを行き来して苗の状況を巡回点検している。様々なセンサーが至る所に設置され、土壌水分、気象、病害虫などの情報を探知し、リアルタイムで後方の指揮センターに送信している。
 
「ここはまるで人間の『脳』のような場所だ。ファームが『賢く』なったおかげで、人は家の中に座ったまま農作業ができるようになった」、1995年以降生まれの農地管理者・侯広宇(Hou Guangyu)氏は指揮センターに座り、タブレット端末を手に農業ロボットを遠隔操作しながらこう語った

現在、中国各地ではスマート農業が積極的に進められ、人工知能(AI)、データ、低空技術などの応用シーンが広がっている。
中国神話で人間に農耕や漁労を人間に教えた三皇の一人の名を冠した「伏羲ファーム」は、中国科学院が推進するスマート農業のパイロットプロジェクトだ。現在では同様の「スマートファーム」が、内モンゴル、重慶、安徽、湖北などに展開され、産業化と市場化が着実に進んでいる。

「伝統的農業は、多くの不確定要素に直面する。スマート農業では、ビッグデータを活用することで、播種(はしゅ)、灌漑、植物防疫など各工程においてシミュレーションと予測を行い、最適なプランを選択することができる」、中国科学院計算技術研究所の張玉成(Zhang Yucheng)チーフシニアエンジニアはこう説明する。
「伏羲ファーム」では、土壌の水分、気象、病害虫などを中心に関連するモデルとアルゴリズムを開発・訓練し、意思決定の段階で高収量かつ安定生産を実現する信頼性の高いサポートが提供されている。
 
「農業農村部市場・情報化司」の責任者は「農業、牧畜、漁業などのスマートファームが現代的な情報技術と設備を活用し、農業を全方位的に改造・アップグレードすることで、生産プロセスにおけるスマート感知、スマート意思決定、スマート制御を実現し、労働生産性、資源利用率、土地生産性を大幅に向上させている」と紹介した。

河南省(Henan)内郷県大花嶺村にある「牧原食品(Muyuan Shipin)」のスマート牧場には「スマート巡回検査ロボット」という特別な「獣医」がいる。このロボットは多種のセンサーを統合し、家畜の身体状態を自動探知できる。同社のスマート診断責任者・胡義勇(Hu Yiyong)氏は「例えば、赤外線サーモグラフィカメラとスマート温度計で家畜の体温変化を識別し、異常が有れば警報を発信する」と説明する。

山東省(Shandong)萊州市(Laizhou)三山島街道の工業化循環水養殖場では、スマート給餌技術が魚の規模や習性に基づいて餌の分量を正確にコントロールしている。

この養殖場を運営する「萊州明波水産(Kaizhou Mingbo Shuichan)」の李文升(Li Wensheng)副総経理は「わが社の養殖モデルは、魚の行動を記録するだけでなく、深層学習を行い、最適モデルとアルゴリズムを構築することができる」と紹介した。

昨年10月に中国農業農村部が発表した「全国スマート農業行動計画(2024-2028年)」では、2026年末までに初歩的なスマート農業公共サービスの能力が形成され、農業生産の情報化率が30%以上に達すること、そして28年末までにスマート農業の公共サービス能力が大幅に向上し、情報技術が穀物、油料作物およびその他重要農産物のコスト削減、増収、効率向上に寄与する効果が全面的に現れ、農業生産の情報化率が32%以上に達することを目標として掲げている。

江蘇省農業科学院農業情報研究所の任妮(Ren Ni)所長は「干ばつがあれば直ちに灌漑し、病害虫が発生すれば迅速に警報を発する。こうした対応をタイムリーかつ効果的に作動させるためのバックヤードの技術は決して簡単なものではない」と指摘する。
スマートファーム運営を支える「核心要素」は、信頼性の高いデータ、アルゴリズムモデル、そしてスマート装備だとされている。

近年、中国のスマート農業分野におけるイノベーション能力は、持続的に強化されている。国家スマート農業イノベーションセンター及びサブセンターが34か所、農業情報技術重点実験室が35か所設置され、スマート農業の重要な技術分野をほぼカバーしている。

研究機関と企業とが連携して共同研究を進め、生物の表現型(形質)を高速で大量に測定・評価する技術「ハイスループット解析」、土壌の現場迅速測定装置、大型汎用農業ロボット化作業プラットフォームなど、一連の重要技術で、相次いで大きなブレークスルーを達成している。
 
スマート農業が目指す未来産業は、広大な「ブルーオーシャン」である。ただし専門家は同時に、スマート農業技術を大規模に実用化するためには、世界各国はまだ多くの課題に直面していると指摘する。

中国を例にとると、国土が広大で、地形や気候が複雑で、農林水産物の種類が非常に多いため、データアルゴリズムモデルや作業装備などの重要な技術革新の難易度も相応に高い。それゆえ、全体的な解決策を模索した上で、大規模な普及応用を行い、スマート農業実用化のリスクとコストを低減すべきである。

関係者の話では、世界の先進国では現在すでに一人当たり5000ムー(約333ヘクタール)以上の農地の機械化管理が実現しているという。

中国のスマートファーム建設は、国際的な先進レベルを目指し「一人当たり1万ムー(約667ヘクタール)以上」の機械化管理を目指して努力を重ねている。(c)People’s Daily /AFPBB News