米ロサンゼルス、移民摘発受けて非常事態宣言を発令
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【10月16日 AFP】米カリフォルニア州のロサンゼルス郡は15日、連邦政府による移民摘発に対する新たな取り組みとして、非常事態宣言を発令した。通常、自然災害時に発令されるものだが、摘発の影響を受けた人々を支援するための資源の活用が可能となる。
数か月前に展開された米移民・税関捜査局(ICE)の職員や国土安全保障省(DHS)傘下の他の機関による摘発は、ロサンゼルスで激しい反発を招いた。
数週間にわたる抗議を受け、ドナルド・トランプ政権はロサンゼルスへ州兵を派遣し、強権的で挑発的な対応と非難の声が上がった。
非常事態宣言の支持派は、覆面をした捜査官による広範囲の摘発が無差別に行われており、スペイン語話者やヒスパニック系に見える人々が標的になっていると主張している。
摘発による恐怖が働き手の就労を妨げ、移民コミュニティーに深刻な困難をもたらしているとされており、最近の調査では移民の週平均収入が60%以上減少していることが明らかになった。
郡監督官の一人で、14日の宣言に賛成票を投じたジャニス・ハーン氏は「摘発がわれわれのコミュニティーに引き起こしている恐怖、痛み、混乱に対応するために必要だった」と述べ、「職場から父親や母親が連れ去られ、家族全体が困窮しているケースもある」と続けた。
宣言の発令により、今後、家賃滞納者に対する立ち退き猶予措置やその他の住宅保護策が導入される可能性が開かれた。
一方で監督官会議の議長を務めるキャスリン・バーガー氏は、連邦政府からの高額な法的措置を招くだけだと懸念を表明。5人の監督官のうち1人だけ反対票を投じたバーガー氏は投票後に「私たちには象徴的なジェスチャーではなく、実際の解決策が必要だ」と述べている。(c)AFP