【10月10日 AFP】ノルウェー・ノーベル委員会は同国時間10日午前11時(日本時間同日午後6時)にノーベル平和賞の受賞者を発表する。喉から手が出るほど欲しがっているドナルド・トランプ米大統領はパレスチナ自治区ガザ地区の和平計画をめぐる第1段階の合意に大きく貢献したとみられているが時すでに遅し、受賞はまずないとみられている。

平和賞の発表は、イスラエルとイスラム組織ハマスが停戦と人質解放で合意したわずか数時間後に予定されている。この合意は、2年以上続くガザ紛争の終結につながる可能性がある。

トランプ氏が両陣営に圧力をかけたことが合意に大きく貢献したとみられているが、ノーベル委員会が考慮するには遅すぎた可能性が高い。

5人で構成されるノーベル委員会は通常、発表の数日または数週間前に受賞者を決定し、発表直前に最終会合を開く。今年は6日に最終会合を開き、選定理由に関する声明文の最終調整を行った。

歴史家で平和賞専門家のアスレ・スベン氏はAFPに対し、合意は2025年の受賞者の選出に「全く影響しない」と述べた。「ノーベル委員会はすでに決定を下している」からだ。

「トランプ氏が今年受賞することはない。100%確信している」とスベン氏は述べた。

スベン氏によると、トランプ氏は長年にわたり、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相を「野放し」にしてガザを爆撃させるがまま放置し、イスラエル軍に多額の軍事支援を提供してきた。

1月の就任以来、トランプ氏は数々の紛争解決に貢献した功績により自分こそがノーベル平和賞に「ふさわしい」と繰り返しアピールしているが、専門家はトランプの主張について大げさだと指摘している。

トランプ氏は9日、AFPの取材に対し、受賞の可能性について「実際にどうなるかは分からない。しかし、歴史上、9か月で八つの戦争を解決した人物がいないことは分かっている」と回答。

「そして私は八つの戦争を止めた。前例のないことだ」と述べ、ガザ紛争は「その中でも最大の戦争だった」と付け加えた。

だが、ノルウェーの首都オスロの専門家たちは、トランプ氏の「アメリカファースト(米国第一主義)」政策は、創設者アルフレッド・ノーベルの1895年の遺言に記されたノーベル平和賞の理念に反するとして、受賞の可能性はゼロだと断言している。(c)AFP