中国の外貨準備が増加 金価格上昇が追い風に
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【10月12日 東方新報】中国の外貨準備が再び増加に転じた。中国国家外貨管理局が7日に発表したデータによると、2025年9月末の外貨準備高は3兆3387億ドル(約508兆9514億円)となり、前月(8月末)から165億ドル(約2兆5152億円)増加した。上昇率は0.5%。金(ゴールド)準備は7406万オンスで、特別引出権(SDR)換算では2兆4352億4700万SDRだった。
中国民生銀行(CMBC)の温彬(Wen Bin)主席エコノミストは、「米国の雇用指標の低迷を受けて、米連邦準備制度(FRB)は9月に0.25ポイントの利下げを実施した」と説明。その結果、世界の資産価格が全体的に上昇し、ドルは低水準で推移したことが外貨準備の押し上げ要因になったと分析している。
一方、金準備も引き続き増加傾向にある。国家金融・発展実験室の龐溟(Pang Ming)研究員によると、9月の金価格は月間で10%を超える上昇を記録。中国人民銀行(People's Bank of China、中央銀行)は9月も金の保有量を増やしたが、増加幅は前月までよりやや小さく、「金の保有拡大と取得コストのバランスを取っている」と指摘する。龐氏はまた、「地政学的な不確実性や市場の変動リスクに備えるため、外貨準備の構成を最適化し、流動性管理を強化している」と述べた。
温彬氏は、中国経済の安定も外貨準備の増加を支えているとみる。「中米貿易協議が着実に進み、国際貿易環境の不確実性がやや和らいでいる。中国は貿易相手国の多様化と輸出構造の高度化を進めており、輸出が引き続き国際資金の安定的な流れを支える役割を果たしている」と述べた。
また、中国は金融市場の対外開放を進めており、海外投資家による中国証券市場への関心が高まりつつある。人民元が国際的な投資資産として存在感を増す中、温氏は「中国経済は全体として安定を保ちながら前進しており、高品質な成長が外貨準備の安定に寄与している」とまとめた。(c)東方新報/AFPBB News