うつ病に関わる遺伝子、女性でより多く確認 豪研究
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【10月8日 AFP】女性は男性よりうつ病のリスクが遺伝的に高いことを示す研究が7日、英科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に発表された。研究はオーストラリアのバーグホーファー医学研究所が主導した。
過去最大規模の一つとなったこの研究では、うつ病患者約20万人のDNAを解析し、共通する遺伝的マーカーを特定した。
解析の結果、女性は男性に比べ、うつ病に関連する遺伝的マーカーをほぼ2倍多く保有していることが分かった。
研究者のジョディ・トーマス氏は「うつ病の遺伝的要因は男性よりも女性の方が大きい」と述べ、「男性と女性に共通する遺伝的要因とそれぞれに固有の要因を解明することで、うつ病の原因がより明確になり、より個別化された治療への道が開かれる」と語った。
うつ病が女性に多く見られることは以前から知られているが、その生物学的な原因は依然として十分に解明されていない。
研究では、女性で約1万3000の遺伝的マーカーがうつ病と関連しているのに対し、男性では約7000のマーカーが関連しているとされた。
これらの遺伝的変化の一部は、代謝やホルモン生成に関わる生物学的経路に影響を及ぼす可能性がある。
「女性のうつ病患者が体重変化やエネルギーレベルの変化といった代謝症状をより頻繁に経験する理由を説明する遺伝的差異をいくつか見つけた」とトーマス氏は述べた。
研究者のブリタニー・ミッチェル氏は、この発見が女性のうつ病治療に変化をもたらす可能性があると述べた。「これまでは、うつ病が女性と男性で異なる理由を説明する一貫した研究があまりなく、遺伝の関与も含め不明な点が多かった」と指摘し、「現在開発されている多くの薬や、これまでの研究は主に男性や男性の参加者を対象に行われてきた」とも述べた。
世界保健機関(WHO)によると、世界中で3億人以上がうつ病と診断されている。(c)AFP