「法のブラックホール」エスワティニ、米国からの追放者10人を収監
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【10月8日 AFP】アフリカ南部の小国エスワティニ(旧スワジランド)は6日、米国の不法移民追放計画の一環として、米国から新たに追放者10人を受け入れ、収監したと発表した。
エスワティニは7月に最初の5人を受け入れた。ガーナ、ルワンダ、南スーダンも最近、米国から追放者を受け入れている。こうした動きは人権団体に批判されている。
エスワティニは5月、米国と締結した協定に基づき、「国境と移民管理能力を構築するための」510万ドル(約7億7000万円)を受け取る代わりに、米国から最大160人の追放者を受け入れることで合意した。
エスワティニの強制当局は6日の声明で、「米国から10人の第三国国民が到着したことを確認した」と述べた。
詳細は明らかにしなかったが、10人は「国内の矯正施設の一つに安全に収容」されており、政府は「彼らの秩序ある送還を促進する」と述べた。
追放者の一部を代理する米国在住のティン・タン・グエン弁護士は、新たな追放者には「ベトナム人3人、フィリピン人1人、カンボジア人1人」が含まれていると述べた。
上記のベトナム人のうち2人の代理人を務めているグエン弁護士は、「依頼人の1人は、エスワティニへの追放によって危害を受けるという合理的な恐怖を主張しようとしたが、米移民・税関執行局(ICE)はその主張を無視し、飛行機に乗せてしまった」と語った。
エスワティニが5月14日に米国と締結した協定では、米国からの追放者には「犯罪歴のある、またはテロ容疑者に指定されている」第三国国民が含まれる可能性があるとされる。
エスワティニへの追放者第一陣の5人について、米政府は子どもに対するレイプや殺人の罪で有罪判決を受けたと説明しているが、弁護士らは5人全員が既に刑期を終えていると主張している。
5人はエスワティニで、政治犯の収容と過密状態で悪名高い、厳重警備下のマツァパ矯正センターに収監された。
5人の1人、62歳のジャマイカ人は、米国で殺人罪の刑期を終えたとされ、約2週間前に母国に送還された。
グエン弁護士は、エスワティニは「法のブラックホール」であり、追放者たちは弁護士の助言を受けることができないと述べた。(c)AFP