【10月2日 AFP】極右勢力からの圧力を受け、移民流入抑制に努める英政府は2日、既に国内にいる難民が家族を呼び寄せることを自動的に認める制度を廃止する計画を発表する。

キア・スターマー首相が、デンマークの首都コペンハーゲンで開催される欧州連合(EU)首脳会議で、難民の家族呼び寄せ制度と自動定住権を廃止する計画の概要を示す予定だ。家族呼び寄せの申請は先月、既に停止されている。

政府は1日深夜のプレスリリースで、「抜本的な改革は、より公平な制度の基盤となる。定住への道をより長くし、(定住権は)国に貢献することで得られるようになるべきだ」と述べた。

スターマー氏率いる労働党政権は、記録的な数の合法移民と不法移民に対し、より強硬な姿勢を取ろうとしている。これには、反移民を掲げる強硬右派政党「リフォームUK」のさらなる躍進を阻止し、激しい国民的議論を鎮めようという狙いがある。

政府は9月、フランスから小型船で海峡を渡ってくる数千人の移民の流入を阻止するため、家族呼び寄せの申請受付を停止した。

内務省の統計によると、2024年7月から2025年6月までの1年間で、難民の家族呼び寄せビザは約2万1000件発給され、その大半は女性と子どもに与えられた。

今回の政策変更により、移民が難民認定を受けても自動的に定住を認められることはなくなり、定住には「新たな、より長い道のり」を歩むことになる。また、家族を呼び寄せる権利も自動的に認められなくなる。

スターマー氏は声明で、「英国で庇護を認められた人々に与えられる権利に根本的な変更を加えている」「英国は、迫害から逃れてきた真の難民を受け入れるという役割を引き続き果たしていく。しかし、英国に定住するための夢のチケットは存在しない。人々はそれを獲得しなければならない」と述べた。

スターマー氏は1日、英国の裁判所による人権法の解釈を見直し、移民の流入を抑制し、より多くの移民を国外追放すると述べた。

内務省の8月の統計によると、2024年7月から2025年6月までの1年間で11万1000人以上が英国に難民認定申請し、2001年の記録開始以来、最多となった。(c)AFP