【10月3日  People’s Daily】中国商務省研究院がこのほど発表した「中国における多国籍企業」報告書によると、経済のグローバル化の大規模な調整に直面する中、中国は全方位・多次元にわたる戦略的優位性を駆使して、多国籍企業にとっての「投資に適した熱い土地」の構築を着実に進めている。

中国市場は、複数の好機が重なり、多国籍企業の長期的な「資本の増値」と「コア競争力の向上」など大きな価値創出の空間を提供している。2024年末までに、外資企業が中国に設立した累計企業数は123万9000社を超え、外国資本が実際に使われた累計額は20兆6000億元(約426兆80億円)に達した。

6月25日、欧州系の航空機大手企業「エアバス(Airbus)」は、北京市で中国民用航空局との協力40周年記念イベントを開催した。

この40年間で、中国はエアバス民間機の最大の単一国市場となり、両者の協力は航空機の研究開発・設計、製造・組み立て、運営サポートから機体の退役後の解体・リサイクルに至るまで全ライフサイクルをカバーするまでに拡大した。エアバスの今年の世界市場予測によると、今後20年間で中国は世界最大の航空輸送市場となり、9570機の新規航空機が必要となる見込みで、これは世界の総需要のほぼ4分の1を占める。

6月18日、ドイツ資本の電気・データ接続・制御機器メーカー「フェニックスコンタクト(Phoenix Contact)中国」の第2の拠点となるバリューチェーン全体をカバーするスーパー工場プロジェクトが、江蘇省(Jiangsu)南京市(Nanjing)で着工した。総投資額は10億元(約206億80万円)。完成後、5年以内に生産能力全体が2~3倍に増加すると見込まれている。同社の責任者は「中国の巨大で絶えずアップグレードされる市場需要は、企業の成長に広大な空間を提供しており、新エネルギー、スマート製造など新興分野の急速な発展はわが社の事業と深く合致している」と説明する。

南京大学(Nanjing University)商学院の韓剑(Han Jian)教授は「需要面から見ると、中国市場の容量の大きさと階層の豊富さという顕著な優位性が、外資企業に広大な市場空間を提供している。供給面から見ると、中国はサプライチェーン体系が完備され、完全な製造体系と強大な生産能力を有し、世界最大の高速鉄道網、高速道路網、世界クラスの港湾群が整備され、物流配送が効率的で便利なため、多国籍企業の生産コストと連携の難しさを大幅に低減できる」と指摘している。

安定した政策環境と多次元的な開放構造が相互に促進し合うことも、外資が中国を高く評価する重要な理由である。

ドイツのヘンケルグループ(Henkel)は、21年、上海市に5億元余り(103億4000万円余り)を投じて粘着剤のグローバル研究開発センターを設立、23年には山東省(Shandong)黄渤海新区に投資し、環境に配慮した高規格の粘着剤産業化基地を建設した。そして今年3月には、江蘇省太倉市(Taicang)の化粧品生産基地が正式に稼働を開始した。同社はここ数年来、中国で相次いで投資と事業展開を行っており、多国籍企業が中国市場を高く評価していることの縮図だといえる。

「この一連の投資ブームは、市場指向、政府の支援、およびビジネス環境の最適化がもたらした必然的な結果だと考える。中国政府は一貫して対外開放を積極的に推進し、『市場参入ネガティブリスト』はますます縮小されている。24年には製造業分野における外資参入制限を全面的に撤廃し、外資招致を強化する一連の政策が打ち出された」、ヘンケルの中国政府関係・公共事業責任者の于江(Yu Jiang)氏はこう話している。

専門家は「長年にわたり、中国は政情が安定し、社会が安全で、政策に一貫性があるため、外資企業に安定した予測可能な経営環境を提供している。特に対外開放政策では、自主的な開放と一方的な開放を秩序立てて拡大しており、多国籍企業にとってより先見性と柔軟性のある発展空間が切り開かれている」と指摘する。

インタビューの中で多くの外資企業が指摘したのは、中国が豊富な応用シーンとイノベーションパワーの育成に支えられ、ビジネスモデルの実験場となり、技術革新の発信地となり、世界最大規模の「シナリオ化されたイノベーションエコシステム」を形成しているという点だ。

中国で38年間事業を展開してきたフランス系のシュナイダーエレクトリック(Schneider Electric)にとって、中国は世界第2の市場であり最重要サプライチェーン拠点の一つとなった。同社の尹正(Yin Zheng)執行副総裁は「技術革新のために北京、上海などに5つの研究開発センターを設立し、19年以降の中国における研究開発投資の年平均成長率は18%を超えている」と話す。

日本のエプソン(EPSON)の中国における事業展開も同樣に「科技+現地化」の方針を堅持している。エプソン(中国)の石橋響介(Kyosuke Ishibashi)総裁は「当社はオープンイノベーションを通じて、広く歓迎される数多くの『中国向けカスタマイズ』ソリューションを創出した。AI時代という新たな命題に直面し、より積極的な姿勢で中国市場の発展の流れとイノベーションエコシステム構築に融合していく」と述べている。

「中国における多国籍企業」報告書によると、近年、外資企業は中国で研究開発センターの設置を継続的に拡大している。統計では、今年5月時点で、上海の外資系研究開発センターは累計603社に達した。24年に北京で新たに認定された外資系研究開発センターは110社を超えていたが、今年1月までにその数は221社に達し、まさに倍増が実現している。(c)People’s Daily /AFPBB News