韓国スタートアップ、国際宇宙ステーションで新薬実験…宇宙と地上を結ぶ創薬プラットフォームへ
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【09月07日 KOREA WAVE】韓国の宇宙医薬スタートアップ「Space LiinTech」が、独自に開発した宇宙医薬研究モジュール「BEE-PC1」を国際宇宙ステーション(ISS)に送ることに成功した。韓国企業が独自の宇宙医薬研究プラットフォームを宇宙へ打ち上げたのは初めてで、宇宙創薬の新たな歴史を刻んだ。
打ち上げは2025年8月24日午後3時45分(韓国時間)、米スペースXの無人宇宙船「ドラゴン」によって実施された。縦横10センチ、高さ20センチの「BEE-PC1」はISSに設置され、微小重力環境下で肺がん発症に関与するタンパク質の結晶化構造を分析する実験を担う。モジュールは自動で作動し、カメラとレーザーで結晶化の過程を記録。約4カ月後に回収された試料は地上で解析され、新薬開発に利用される。11月には新型コロナ治療薬構造分析、非公開の製薬プロジェクト、自社開発物質の実験など3件が韓国型ロケット「ヌリ号」に搭載される。
Space LiinTechのユン・ハクスン代表は「宇宙と地上を結び、創薬環境を根本から再設計する出発点だ」と語り、宇宙と地上で得られたデータを統合分析することが事業の核心だと強調した。同社は補完的な実験環境として地上に微小重力を模擬できる「ドロップタワー」を独自構築。すでに4m級と600m級を稼働させ、現在900m級の建設を進めている。完成すれば13秒以上の微小重力環境を再現でき、米航空宇宙局(NASA)が基準とする「10秒以上」を超える水準となる。
宇宙はタンパク質結晶化に最適な条件を備える。重力がないため不純物の混入がなく、純度の高い結晶を成長させることが可能だ。X線回折分析によって精密な立体構造解明につながる。
ユン・ハクスン氏は「少量でも高い付加価値を生む抗がん剤や希少疾患薬は宇宙実験コストを十分に上回る」と述べ、宇宙医薬が次世代バイオ産業の核心になると見通した。同社は現在、委託研究(CRO)として製薬企業にデータを提供しており、2026~2027年には宇宙・地上実験データの商業化、2028年下半期にIPO、2029年から宇宙ベースの創薬実用化を目指している。
(c)MONEYTODAY/KOREA WAVE/AFPBB News