【9月5日 東方新報】中国・広東省(Guangdong)広州市(Guangzhou)と仏山市(Foshan)で、4026台の電気自動車(EV)が電力網の需要に応じて充放電を行う「車両-電力網連携(V2G)」システムの大規模実証実験が実施され、その有効性が確認された。この規模と複雑さは国内最大級であり、注目を集めている。

実験は2日間にわたり行われ、103か所の充電ステーションで6つの異なるシナリオがテストされた。南方電網広東電網公司の観測によると、最大で2万5000キロワットの電力需要に対応し、5万4000キロワット時の電力供給に成功した。これは小規模な町全体のエアコン使用量に匹敵する規模だ。

実験中の7月30日、広州市天河区のオフィスで働く陳(Chen)さんのスマートフォンアプリに、ピーク時に車両から送電するよう求める通知が届いた。承諾すると、彼のEVを含む428台が自動的に送電を開始した。この仕組みは「仮想発電所」と呼ばれ、分散した電力資源を一元管理するものだ。

広州市では、複数の充電サービス事業者のシステムを統合し、ブロックチェーンや5G通信を活用することで、指令から実行までを45秒以内で完了させた。参加ドライバーには2日間で計3万8000元(約78万3476円)の報酬が支払われた。

一方、仏山市では電力市場の価格変動を利用するアプローチが採用された。AIが24時間前に価格高騰を予測し、充電スタンドの出力を自動的に調整することで、電力需要の平準化を実現した。

今回の実証実験の成果を踏まえ、広東電網は自動車メーカーや充電インフラ事業者と協力し、国内初となる「車両-電力網連携連盟」を設立する計画だ。関係者によれば、2028年までに珠江デルタ地域で60万台以上のEVがこのシステムに参加すれば、大規模な揚水発電所に匹敵する調整能力が得られるという。

この技術が普及すれば、EVは単なる移動手段にとどまらず、電力需要のピーク時に供給源として機能し、電力網の安定化や再生可能エネルギーの活用促進に大きく貢献する可能性がある。(c)東方新報/AFPBB News