【8月28日 AFP】米連邦準備制度理事会(FRB)のジャネット・イエレン元議長は27日、ドナルド・トランプ米大統領によるFRB理事リサ・クック氏解任の動きは、中央銀行を政治的利用する直接的な試みであり、「極めて危険だ」と述べた。

トランプ氏は25日、住宅ローン契約に関する虚偽申告の疑いを理由にクック氏の解任を発表していた。

しかしイエレン氏は英紙フィナンシャル・タイムズの意見記事の中で、非難だけではFRB理事を解任するための「理由」にはならないと主張した。

ジョー・バイデン前大統領の下で財務長官を務めたイエレン氏は、「トランプ氏がここで持ち出す理由は虚構であり、独裁的な権力掌握を正当化するための口実だ」と非難。「FRBを政治化し、その指導部を脅し、金融政策を大統領の意のままにしようとする直接的な試みだ」と述べた。

イエレン氏は、トランプ氏が大統領の見解に異議を唱えれば次は自分たちが標的になるという「冷酷なメッセージ」を、金利を設定する連邦公開市場委員会(FOMC)の他の役員に対して発しているとも述べた。

またイエレン氏は、中央銀行が政治的命令に従っていると市場が信じるようになれば、FRBの金利決定の信頼性が失われると警告している。(c)AFP