【8月28日 CNS】今年6月末、寧夏回族自治区(Ningxia Hui Autonomous Region%)内の騰格里砂漠の縁辺部緑化が完了した。全長約153キロ、幅10~38キロに及ぶ緑の防壁は、巨大な錠のように砂漠の縁を固定した。

7月には全長1856キロの防砂帯が全線で繋がり、内モンゴル自治区(Inner Mongolia Autonomous Region)のバダインジャラン砂漠、トングリ沙漠、ウランプハ砂漠の三大砂漠を囲む緑化帯が完成。さらに2024年11月には、世界第2位の流動砂漠であるタクラマカン砂漠を囲む全長3046キロの緑の防護帯も整備された。西北部の砂漠地帯から黄河沿岸にかけて、大規模な「砂漠封じ込め作戦」が中国の生態系地図を塗り替えている。

中国は世界で最も深刻な砂漠化に直面する国の一つで、砂漠化面積は257万平方キロに及ぶ。1978年に開始された「三北防護林」プロジェクトは、2050年まで3段階8期に分けて実施される計画だ。40年以上の努力の結果、重点整備区域では「砂漠が前進し人間が後退する」状況から「緑が前進し砂漠が後退する」状況へと歴史的転換を実現。森林被覆率は1977年の5.05%から現在の13.84%に上昇し、黄河流域の植生被覆「緑線」は300キロ西進した。

現在進行中の第6期(2021-2030年)では、黄河「几の字湾」地区、コルチン砂地、河西回廊・タクラマカン砂漠縁辺部の三大重点区域で防砂作戦を展開。新技術や新素材の導入により、コルチン砂地では草原景観が回復し、タクラマカン砂漠は「緑のマフラー」をまとうようになった。

三北工程研究院の崔桂鵬(Cui Guipeng)副研究員は、「科学的防砂戦略が成功の核心」と指摘。リモートセンシング、ビッグデータ、AI、バイオテクノロジーなどを駆使した「科学防砂2.0」時代に入ったと説明する。

このプロジェクトは生態改善だけでなく、経済発展にも寄与。経済林の果実生産量は年4800万トンに達し、年産総額は1200億元(約2兆4589億円)、1500万人以上が特色ある林業・果樹産業で安定した生活を手にした。砂漠生態系がもたらすサービスの総価値は、2019年時点で5.7兆元(約116兆8019億円)と推計されている。

2024年からは国家発展改革委員会の重点プロジェクトに位置付けられ、577億元(約1兆1824億円)の超長期特別国債と中央財政資金が投じられている。セハンバ砂漠の「荒れ地から林海へ」、クブチ砂漠の「死の海からオアシスへ」といった成功事例は、生態文明建設の中国モデルを世界に示している。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News