北朝鮮が韓国に突き付ける“現実離れ”要求…「李在明政権がどこまで譲歩するか」試す戦略
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【08月23日 KOREA WAVE】北朝鮮が最近、韓国向けのメッセージを次々と発している。表向きは「韓国とは会うことすらない」と断絶姿勢を見せながらも、実際には米韓連合訓練の廃止、南北“二国家論”の受け入れなど、現実には受け入れがたい要求条件を突きつけている。専門家らは、これはイ・ジェミョン(李在明)政権がどこまで譲歩できるかを試す戦略だと分析している。
朝鮮中央通信によれば、北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党総書記の妹であるキム・ヨジョン(金与正)党副部長が18日、外務省幹部らと会議を開き、イ・ジェミョン大統領の光復節記念演説の発言を直接取り上げ、「妄想、寝言だ」と批判した。また「イ・ジェミョンは歴史の流れを変える人物ではない」と評価を切り捨て、韓国政府の平和構想は北朝鮮にとって魅力がないと断言した。
さらにキム・ヨジョン氏は米韓連合演習を「米韓の侵略戦争演習」と規定し、イ・ジェミョン大統領の「防御的性格の訓練」という発言も「前政権と同じだ」と切り捨てた。加えて、韓国憲法の「領土条項・平和統一条項」そのものが吸収統一論と変わらないとし、韓国の進歩・保守いずれの政権も対北朝鮮対決の延長線上にあると主張した。
注目すべきは、北朝鮮が韓国閣僚(統一相、外相、国防相)の名前まで具体的に挙げた点だ。これは「対話はしないが、韓国政府の動向は綿密に追跡している」というサインと受け取れる。
専門家らは、北朝鮮が▽米韓連合訓練の廃止▽二国家体制の承認(統一放棄) ――という条件を突きつけ、韓国がこれを受け入れない限りいかなる対話もないとメッセージを発していると指摘している。
韓国・統一研究院のホン・ミン上級研究委員は「韓国が米韓同盟を維持しながら融和的メッセージを並行することを、北朝鮮は『二重的だ』と指摘している。根本的な転換がなければ南北協力は不可能という立場を明確にしたものだ」と分析した。
また慶南大学のイム・ウルチュル教授は「北朝鮮はすでにロシアと接近し、軍事・経済的利益を得ており、今は対話を急ぐ必要がない。少なくとも『核保有正常国家』として国際的に承認されるまでは、韓国や米国と交渉のテーブルにつくことはないだろう」と展望した。
(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News