米中貿易高官会談後、「世界のスーパー」義烏の状況は・中国
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【9月13日 People’s Daily】米中経済貿易首脳会談で実質的な進展が得られた後、「世界のスーパー」と呼ばれる浙江省(Zhejiang)義烏市(Yiwu)の「義烏国際商貿城」では、商店主が再び米国の顧客との取引交渉に忙殺され、フォワーダー(輸出貨物代行業者)や物流企業も活気づいている。
この数日、地元の工具メーカー「柯南五金工具商行」の汪楠(Wang Nan)総経理は、米国顧客向けの商品の準備に追われている。汪氏の話によると、以前は毎月米国向けにコンテナ1台分の商品を発送していたが、4月には一時停止していた。ところが米中経済貿易会談の共同声明(両国とも関税115%引き下げ)発表当日、米国の顧客から連絡があり、以前の注文を再開したい、出来るだけ早く出荷して欲しいと要望され、さらに追加で1コンテナ分の注文が入ったという。
汪氏は「米国の顧客はもともと今年7月にニューヨークに専門店を開店する計画だったが、4月にそれを延期していた。それが最近顧客から7月に予定通り開店するとの連絡がきた」と話す。
米国からの注文が回復する一方で、義烏の商店主たちは独自のペースで新しい市場の開拓を進めている。
「浙江麗芙秀化粧品(RifeShow)」の営業責任者・劉健豪(Liu Jianhao)氏は「最近アフリカの市場シェア拡大を目指してアフリカ各国を訪問中だ」と話す。劉氏はここ数日間、チームを率いてタンザニアの主要顧客を次々と訪問していた。
劉氏は「共同声明発表後、米国顧客からすぐに連絡があり、一時停止していた出荷が順次再開されている。4月に受けた影響を早期に回復させる必要がある」と強調する。
近年、同社は多角化市場の開拓を継続している。「今回のアフリカ訪問では、タンザニア、セネガル、ナイジェリア、ガーナなどの市場拡大を重点的に進めている。中国製の香水はアフリカで人気が高く、またアフリカ市場に適合する製品の開発も進めている。品質が良ければ、アフリカは市場が広いので販売に困らない。安定したサプライチェーンがあれば『高品質低価格』が実現できる」、劉氏はこのように説明する。
義烏に近い臨海市(Linhai)で主に輸出向けの衣料、靴、帽子などを営む「浙江省臨海市絲柔制衣」も最近フル稼働で生産を進めている。
同社の邵敬峰(Shao Jingfeng)総経理は「米国からの急な追加注文が相次ぎ、納期が逼迫しているので、従業員は残業を繰り返しながら生産を急いでいる。この1か月間、米国の顧客が繰り返し連絡を取ってきたことで、わが社の製品に競争力があることを再確認した」と話す。
最近、邵社長は事業転換を検討している。単一顧客や単一市場への過度の依存から脱却する方針だ。今年、同社は南米、東南アジア、欧州などの海外市場開拓を加速すると同時に、国内消費の潜在力を深掘りしていく計画だ。
物流企業も米国向け輸送ラインのピークに対応している。地元義烏に本拠を置く「浙江盈和国際物流」は、義烏から米国へのEコマース貨物の取り扱い量最大の物流企業だ。マーケティング部門責任者・程泓瑞(Cheng Hongrui)氏は「最近、わが社の米国向け貨物量が急増し、米中共同声明前と比べ30%近く増加した。需要が増えると価格も自然に上昇する。40フィートハイキューブコンテナの海上運賃は、以前は約2500米ドル(約36万9325円)だったが、先週は3000米ドル(約44万3190円)を超えた。また二級市場(ブローカーなどが扱う転売市場)では、さらに追加料金を払わないと確保できない」と説明する。
程氏は「現在は主に上期で延期されていた注文が集中的に出荷されている状況だが、しばらくすれば落ち着くだろう」と言い、「企業は苦難とチャンスの中で成長し、成熟していくものだ」と付け加えた。(c)PeopleʼsDaily/AFPBBNews