【8月22日 AFP】ドナルド・トランプ米政権は21日、全米の注目を集めた死亡事故を受け、外国人トラック運転手へのビザ発給を急きょ停止した。

マルコ・ルビオ国務長官はX(旧ツイッター)に、「商用トラック運転手への就労ビザ発給を即時かつ全面的に停止する」と投稿。

「米国の道路で大型トレーラーを運転する外国人運転手の増加は、米国人の命を危険にさらし、米国人トラック運転手の賃金を押し下げ、生活を圧迫している」と訴えた。

この措置は、フロリダ州の高速道路で違法なUターンを行い3人を死亡させたとして、インド出身のトラック運転手が訴追されたのを受けたもの。

連邦当局によると、ハルジンダー・シン容疑者はメキシコから米国に不法入国し、事故後の英語力試験で不合格となった。

この事故はメディアやトランプ氏率いる共和党が多数派を占めるフロリダ州の当局者の注目を集めた。副知事は21日、シン容疑者の身柄引き渡しのため、移民当局者と共にカリフォルニア州へ向かった。

シン容疑者は、カリフォルニア州在住で、同州で商用運転免許を取得した。同州ではトランプ氏の移民取り締まりに反対する民主党が主導権を握っていることもあり、本件は政治的な側面も帯びている。

ショーン・ダフィー運輸長官は、「この事故は防ぐことができた悲劇だ。無謀な判断によって引き起こされ、卑劣な失策によってさらに悪化した」と述べた。

カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事室は、難民認定を申請していたシン容疑者に就労許可を出したのはトランプ政権下の連邦政府だと指摘。カリフォルニア州はシン容疑者の身柄引き渡しに協力したと付け加えた。

この事故以前から、共和党議員たちは外国人トラック運転手を攻撃しており、直接的な関連を示す証拠を示すことなく、移民のせいで事故が増加していると主張していた。

ダフィー運輸長官は6月、トラック運転手には一定以上の英語力を必須とするよう指示した。

トラック運転手は長年、基本的な英語力などの試験に合格することが義務付けられてきたが、2016年にバラク・オバマ元大統領政権が英語力の欠如のみを理由に外国人トラック運転手を道路から排除しないよう指示していた。(c)AFP