万里の長城の高度な保護と活用・中国北京
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【9月4日 People’s Daily】初夏の「八達嶺長城(Badaling Great Wall)」の内側も外側も生気にあふれる緑に覆われ、夜更けに照明が灯ると「輝く巨大な竜」が雄大な姿を現す。
古くからの「長城」が新たな活力を放つのは、北京市が長城の高度な保護を継続的に推し進め、長城という貴重な資源を地域の発展に転換し、より多くの市民に恩恵をもたらしているからだ。
長城は中華民族の代表的シンボルであり、中華文明の重要な象徴だ。近年、北京は長城の保護、継承、活用を積極的に推進し、この唯一無二の貴重な財産を丁寧に守り、長城という歴史文化遺産に新たな時代の輝きを放たせている。
正午頃、「箭扣長城(Jiankou Great Wall)」の120号「敵台(防御櫓)」付近で、作業員たちが長城本体の修繕を行っていた。技術者はドローンなどの機器を用いて長城本体と周辺環境のデータ収集を行い、3次元デジタルモデルを随時更新している。
大きくは壁周辺の地形や植生、細かくは「敵台」のひび割れまで、漏らさず把握している。北京市は3次元映像やバーチャルリアリティなどの技術を活用し、長城のデジタル化保護と展示を推し進め、デジタルデータ収集と全工程の記録により、今後の修復設計や展示のための資料の充実を図っている。
ここ数年の間、北京市は110件を超える長城保護工事を実施している。「長城保護修復実践基地」を設立し、研究的な修復プロジェクトを推進するとともに、テクノロジーの活用を強化して「北京長城e巡回検査専用版」を編成した。長城の保護を従来の「緊急保護」から「予防保護」へと移行させる取り組みを進めている。
最近、北京市密雲区古北口鎮では、長城を軸にした4つのプレミアム研修旅行ルートが、観光客の人気を得ている。これらのルートは、写真撮影スポットとしても最適なだけでなく、生き生きとした長城の歴史文化を見ることが出来る。
市政府の文化・観光部門は、鎮の中にある「司馬台長城(Simatai Great Wall)」、四方に6つ窓が開いた「二十四眼楼」「将軍楼」などの長城資源を活かし、長城文化の掘り起こしと解説を強化している。
「長城国家文化公園(北京区間)」の建設、「中国長城博物館」の改修とグレードアップ工事の実施、「北京長城文化祭」「北京長城音楽会」などのイベント開催、「箭扣、古北口、八達嶺長城・解説標識システム」の整備、没入型音楽情景劇「夢華・長城」の公演など、北京市は長城文化の創造的転換と革新的な発展を継続的に推し進め、長城の精神的価値を突出させ、文化遺産に時代を超えた生命力を与えている。
年代を感じさせる青石の道、古風に復元された長城の「胸壁(壁の上の凹凸状の背の低い壁)」、趣ある住居の中庭など、石峡村に足を踏み入れると、長城のモチーフがそこかしこに見られ、観光客が絶えることがない。
「メーデー連休中、我々の民宿の客室は予約で埋まり切った」、プレミアム民宿「石光長城」の経営者・賀玉玲(He Yuling)さんは笑顔でこう話す。石峡村には民宿が次々と建建ち、酒蔵、油倉、カフェ、長城書店などと共に「農村・文化・旅行産業チェーン』が形成され、村民の生活向上に貢献している。
長城沿いの村々は、長城とともに生まれ、長城とともに栄えてきた。北京市は長城の資源を活かし、長城文化を軸に文化と観光の融合を進め、長城をテーマにした文創ブランドを育てている。葉巻の「長城国礼」や「長城アイス」など、個性豊かなオリジナルグッズや地元の名物も次々と生まれている。
また北京市は、「八達嶺長城」の特色ある観光イベントをスタートさせ、「長城+研修」「長城ナイト」などの観光プロジェクトを打ち出し、地元の農村振興に新たな原動力を提供している。長城の遺産を保護しつつ、世界第一級の歴史文化遺産である長城の「輝かしい金看板」をさらに輝かせ続けている。(c)PeopleʼsDaily/AFPBBNews